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日経平均だけ見ているとわからないが、日本企業はしたたかになっている。「買うべき企業の業種」とは??日本株投資の達人、藤野英人氏が語る(撮影:梅谷秀司)
日本経済の「潮目」が変わりつつある。来年をもって「平成」という元号が終了するというのも偶然ではないかもしれない。30年に及ぶ平成の時代は、経済面から見ると、平成バブル崩壊の影響を受け、苦しい局面を幾度も経験した。この間、日本は国際競争力で米国の後塵を拝し、GDPでは中国に抜かれた。これから先、日本企業はどう生き残るべきか。「日本のマゼランファンド」を目指すファンドマネジャー、藤野英人氏に話を聞いた。

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日本企業の最新の四半期決算もそうだが、前期(2016年度)の内容を見て思ったのは、日本経済の潮目が、どうやら変わりつつあるということだ。バブル経済が崩壊し、平成に入ってからの日本経済は混迷を極めた。

日経平均株価は、現在は2万円前後にまで回復しているが、それを大きく超えることはなく、特にこの2年ほどは、ほぼ横ばいが続いている。

「デファクトを取りにいかない選択」の意味とは

しかし、こうした閉塞感に満ちた状態も、いよいよ終わりを告げることになりそうだ。前期の企業決算の内容を吟味して、改めてその思いを強くした。総合電機メーカーや自動車会社の経営者が語る言葉の端々に、ある種の覚悟が感じ取れるのだ。それは、世界のデファクトスタンダードを取りにいかない選択をしたことである。

デファクトスタンダードを取るためには、多額の設備投資を行い、つねに研究開発競争に身を置く必要がある。それでデファクトスタンダードを取れればいいが、取れる保証はない。取れなければ、それにかけた多額の設備投資資金が無駄になる。過去、日本企業もデファクトの獲得を目指した時期はあったが、もはやこうした競争は、米国と中国が主導権を握っている。

現実問題として今の日本には、グーグルやテンセントといった、デファクトスタンダードを取れるような企業を輩出する力がない。大きなリスクを取って成功を目指そうとする人材を育てる教育制度が、日本には不十分だからだ。それができないのであれば、海外からの移民を受け入れ、日本人にはない異能を引き込むという手もあるが、おそらく移民受け入れについて国民のコンセンサスを得るためには、これから少なくとも、もう10年はかかるだろう。そんなことをしているうちに、日本はデファクトスタンダードを獲得するための競争から、さらに大きな後れを取ってしまう。


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