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有事の際には北朝鮮への報復を示唆するトランプ大統領。「異次元のリスク」で下がった日本株は買うべきか(写真:ロイター/アフロ)

「異次元の北朝鮮リスク」をどう見るか

最近の北朝鮮は、米国から見れば同国の日中時間帯にミサイルを発射し、果てはグアム島周辺への着弾まで予告した。言うまでもなくグアム島は、米国領であるだけでなく、近年米国にとって戦略上、最も重要度が増している軍事基地の一つだ。

米軍は、自軍の機動力向上と北朝鮮地上軍の侵攻に備え、韓国駐留軍を朝鮮半島南部へ移動させ、その一部をさらにグアムへ退避させた。それを承知の上での北朝鮮の挑発だ。

これは従来からの北朝鮮の地政学的リスクに比べ、「一線を越えた」どころの話ではない。市場には「米国のドナルド・トランプ大統領との『チキンレース』」と揶揄できない恐怖が高まっている。前週末にかけて日本だけでなく、アジア株や欧州株も下げたことは、市場が戦争のリスクを感じたためだ。

それゆえ、日米の防衛関連株が買われたことは不謹慎とは言えない。特に米国の軍事関連株は、常に世界の紛争とも関連してきたので、冷静に業績と共に動く習性があるが、たとえば最近のS&P米航空宇宙・防衛株指数などをみると、昨年秋までとは異質の動きをしている。

どう考えてもあり得ないことが起こるかも知れないというリスクへの恐怖。市場リスクとは、とりもなおさずさまざまな経済リスクのことを主にさすが、北朝鮮リスクは明らかにルールの違う異次元のリスクだ。

さて現実的なマーケット解説に戻ろう。今のマーケットは、保ち合っていた日本株が大きく下げたことで、これがNY株を刺激し大幅安となり、それを見て日本株が再び下げるという悪循環に陥っている。

CME(シカゴマーカンタイル取引所)先物や日本の夜間取引では、1万9300円台まで下落。5月連休の上昇時に空けた日経平均株価の「マド(窓)」の下値1万9400円を埋めた形になってしまい、チャート的には形が悪くなってしまった。


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