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遺跡や自然がすばらしいエジプト。一度は訪れたい(写真:photo-imp / PIXTA)

「一生に一度は訪れたい名所」の一つとして必ず挙がるピラミッド。世界7不思議の一つに数えられる神秘の建造物や古代エジプトの遺跡群がちょっぴり身近になる。2011年のエジプト政変後の情勢悪化で2013年7月から運休していたエジプト航空の日本―カイロ便が10月29日、週1便の成田―カイロ直行便として運航を再開するからだ。

とはいえ、行きたくても「治安がちょっと不安」というのが多くの人の本音ではないだろうか。

世界最大級の河川であるナイル川沿いに古代文明が栄えたエジプトは、ギザの3大ピラミッドや隣接するスフィンクス、階段ピラミッド、屈折ピラミッド――と、ピラミッドだけでも盛りだくさん。南部ルクソールの王家の谷にある数多くある3000年以上も前の墓所の色鮮やかな壁画やレリーフ、圧巻のハトシェプスト女王葬祭殿といった遺跡も魅力的だが、エジプトは自然もまたすばらしい。

抜群の透明度を誇る紅海には保養地が点在しており、真っ青な海でシュノーケリングやダイビングが楽しめる。また、西部砂漠に広がる奇岩群の白砂漠や、モーセが十戒を授かったシナイ山など、訪れるべき場所は随所にある。

一部地域は外務省が「渡航中止勧告」

だが、残念なことに、これらすべての観光地に足を運ぶのは難しいのが現状だ。日本の外務省は、海外安全情報(危険情報)として、シナイ山がある南シナイ県など一部の地域に関しては、「渡航中止勧告」を出している。大カイロ都市圏やルクソールからアブシンベルを結ぶ幹線道路、シナイ半島南端の保養地シャルムエルシェイクなどへの渡航については、「十分注意してください」と呼び掛けている。ピラミッドのあるカイロ周辺やルクソールは比較的安全といえるが、危険がまったくないわけではない。

在エジプトの邦人ジャーナリストは次のように話す。「最近も南部ケナでの警察の摘発活動で警官1人と武装組織戦闘員2人が死亡したほか、ルクソール南方のエスナで警官と市民が殺害されています。ケナやエスナは観光地でもあり、油断できない状況になっています。主な観光地は警備も厳しく、今のところ、守られてはいますが、いつどうなるかわからない不安があることは確かです」

「経済悪化に伴う通貨価値の下落で輸入品を中心とした物価上昇が続いており、国民皆貧困化からくる窃盗事件が増えているようです。最近も在留邦人がひったくりの被害に遭ったと大使館から注意喚起があったばかりです」


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