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採掘した大きな鉱石は手で選別する。金の多い黒っぽい鉱石を選ぶ(記者撮影)

鹿児島県の北東部に位置する伊佐市菱刈(旧伊佐郡菱刈町)。周りには住宅が点在し、田んぼの中の小高い丘に、その入り口はある。

住友金属鉱山が開発する菱刈(ひしかり)鉱山。1983年に本格開発を開始、現在も年6トンの金を産出している。これまで日本には多数の金鉱山があったが、次々と閉山。いまや日本で唯一商業規模で操業が行われている金鉱山だ。

記者は10月初旬、同鉱山を取材する機会を得た。実際にどのように金は掘り出され、どのように利用されているのか。

坑内はまさに巨大迷路

坑道の総延長は100キロメートル以上、坑内はまさに迷路(記者撮影)

菱刈鉱山には合計156もの鉱脈(鉱床)がある。鉱脈ができたのは約100万年前と、金鉱脈としては非常に新しい。長さは東西に約3キロメートル。そこに迷路のように張り巡らされているのが、坑道だ。

すべて合わせると100キロメートル以上ある。坑内はまさに巨大迷路、一度迷ったら出られなくなりそうだ。途中までは車で移動し、あとは枝分かれした、トンネルの切羽と呼ばれる最先端の採掘現場まで歩いていく。

高品位の鉱石が含まれる採掘現場には、一見しただけでは見落としてしまいそうだが、地層の中に白っぽい部分や黒い部分が重なり合った岩層がある。その黒い部分に金が多く含まれているという。実際はドリルジャンボで壁に穴をあけ、火薬を仕掛けて爆破。その鉱石を専用ダンプカーで運搬し、外に持ち出す。

持ち出された鉱石は、3段階に分けて選別される。大きな鉱石は、手で選別される。選別された鉱石は、鹿児島湾の加治木港から住友金属鉱山の東予工場(愛媛県)に専用船で運ばれる。


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