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30代40代の共働き夫婦は、妻に「もしも」のことがあった場合のリスクをもっと考えるべき(写真:A_Team / PIXTA)

今回は、共働き夫婦の「妻の保険」についてお話をしたいと思います。厚生労働省などの統計によると、共働き家庭の数が専業主婦家庭のそれを完全に抜いたのは1997(平成9)年。今からもう20年も前のことになります。ファイナンシャルプランナーである筆者へ相談を寄せてくる顧客のうち、30代や40代の方は、やはり共働き家庭が大半を占めます。

30代や40代の夫婦は、お子さんもまだ小さく、親としての責任も大きいですから、十分な死亡保障を考える必要があります。しかし、「『父親の万が一』に備えて生命保険に加入したいのだが、どれがベストか」という質問や要望は多いのですが、なかなか「母親の万が一」のときに備えて生命保険をかけようという方は、少ないのが実情です。

「専業主婦の妻」前提の制度で「共働き妻」が死亡したら?

実は、国の保障は、男性会社員が亡くなったときと女性会社員が亡くなったときでは、格差があります。ひとことで言えば、男性死亡時の妻への保障は比較的手厚いのですが、女性死亡時の夫への保障は少ないのです。

共働きで、夫婦で家計を支えている場合、それぞれが亡くなったときの経済的ダメージは同等であることが多いです。もし経済的損失が男女同じであれば、国の保障が少ない女性にこそ、死亡時の民間保険の備えが必要になるのですが、意外に国の保障の「性差」に気づいている人が少なく、「備え不足」になっているケースがほとんどなのです。

なぜこういう格差が生じたのでしょうか。日本の「皆年金」制度が始まったのは1961(昭和36)年です。したがって今の年金制度も、まだその当時の「ザ・日本の家庭」をイメージした保障内容となっています。

1961年を振り返ってみましょう。高度成長期で、東京オリンピックの準備や新幹線の開通前夜で日本中が沸いていた頃です。つい最近まで放映されていたNHKの「ひよっこ」は、まさにこの時代をもとにした「朝ドラ」でした。地方から上京して会社勤めをする人が激増した時代であり、年功序列、終身雇用、モーレツ社員の時代だったわけです。

休みなく働き続ける「サラリーマン」家庭には、専業主婦の妻が必要です。郊外に家を持ち、しっかり家を守り、子育てをする妻の安心を保障するのは、国の役目でもありました。


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