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北千住にあるタカラ湯。現在の建物は1938(昭和13)年築だ(撮影:今井康一)
東京23区だけでも無数にある、名建築の数々。それらを360度カメラで撮影し、建築の持つストーリーとともに紹介する本連載。第3回の今回は、足立区の銭湯「タカラ湯」と北区の銭湯「稲荷湯」へ訪れた。
なお、外部配信先でお読みの場合、360度画像を閲覧できない場合あるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みいただきたい。

東京には約600の銭湯がある

東京の銭湯は、「宮造り建築」と呼ばれる、お寺か神社のような建物であるのがなによりの特徴。これは関東大震災後、突如銭湯に広まった様式で、宮大工の技術を持った棟梁が考え出したものだという。

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1920年代は自宅に風呂のある家庭は少なく、お風呂と言えば銭湯に入りに行くのが一般的だった。狭い範囲に数軒の銭湯が競合していたような地域も多かった。

そこで客寄せのために外観や内部が派手になり、人目を引くこの様式が広まっていったという経緯がある。見知らぬ街を歩いていて、この宮造りの銭湯と空に向かってそびえる煙突のある風景に出会うと、街並みが一気に魅力的に思えてくる。

東京の銭湯の最盛期は高度経済成長期である1968年の2687件。2015年末には628件(東京都浴場組合調べ)で、ずいぶん減ったとはいえ、まだまだ健在だ。今回は、特に外観も内部も東京を代表する建築として見応えのある、戦前築の銭湯を訪ねてみよう。

テルマエ・ロマエのロケ地にもなった西巣鴨の稲荷湯の男湯(編集部撮影)

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