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会見する富士フイルムHDの助野健児社長兼COO(右)。マイクの数の多さが注目度の高さを物語っている(編集部撮影)

「あくまでもわれわれのスキームがベストだと考えている」――。

富士フイルムホールディングス(HD)の助野健児社長兼COO(最高執行責任者)は、米事務機器メーカー大手ゼロックスの買収について繰り返しそう話した。

5月18日、富士フイルムHDは2018年3月期の決算を発表した。ただ普段の倍近い数の記者が集まった決算会見において、話題は決算の中身ではなく、着地点の見えない米ゼロックスの買収劇に集中した。

二転三転した買収劇

ここまで米ゼロックスとの買収交渉は、文字どおり二転三転してきた。

富士フイルムHDが買収計画を発表したのが1月31日。米国を代表する名門企業の買収、さらに富士フイルムHD側の現金流出を一切伴わないスキームが話題になった。

しかし“物言う株主”であるカール・アイカーン氏やダーウィン・ディーソン氏が「米ゼロックスを過小評価している」などとして異議を唱えた。2人は米ニューヨーク州上級裁判所に提訴、4月27日に裁判所は買収の差し止めを認める仮処分命令を下した。

そこからは情勢がめまぐるしく変わった。5月1日、富士フイルムHDの買収スキームに賛同していたはずの米ゼロックスの取締役会は突然、アイカーン氏らと和解する。その後和解は一度失効するが、9日になって米ゼロックスは、富士フイルムHDと買収条件を再交渉すると発表した。

そして13日、米ゼロックスはアイカーン氏らと再び和解、富士フイルムHDとの買収契約は破棄されたと公表した。これまで富士フイルムHDとの交渉を主導したジェフ・ジェイコブソンCEOは退任、代わって米HP出身で、アイカーン氏らが推薦するジョン・ヴィセンティン氏が新しいCEOに就任した。また米ゼロックスは富士フイルムHDに対し、株主への特別配当を大幅に増やすように求めていたことが分かった。


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