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米国の10年債利回りが3.1%を突破。おりしもアルゼンチンの通貨が急落。新興国は大丈夫だろうか。米国の大統領がこの人だけに「何かあったら大変」と思う人は少なくないはずだ(写真:ロイター)

相変わらず内外でニュースが多い。何がノイズで何がシグナルなのやら、取り上げるテーマが悩ましい時期である。ちょっと挙げてみよう。

・ 5月14日には、イスラエル建国70周年に合わせて、米国大使館のエルサレム移転祝賀会が行われた。

・ 5月15日には、米国のイラン核合意離脱をめぐって、英仏独とイランの外相がブリュッセルで会談した。

・ 5月16日には、北朝鮮が米韓合同軍事演習に反発して、当日予定されていた南北閣僚会議の中止を申し入れた。

・ 5月16日に内閣府が発表した1-3月期GDP成長率は、9四半期ぶりのマイナス成長(年率マイナス0.6%)となった。

米国経済の「潮目」が変わった?

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しかし「市場深読み劇場」という視点から行くと、今週(5月第3週)もっとも気になったニュースは5月15日に米国の長期金利が3.09%に乗せたことであった。

これは2011年7月以来の高水準。これを受けて為替も1ドル110円?111円台で推移している。1か月半で5円程度のドル高円安となった形だが、ドルはユーロや新興国通貨に対しても独歩高となっている。

どうも米国経済の「潮目」が変化しているように思える。米国景気が良いことは誰でも知っていて、失業率など実に3%台に低下している。前回、3%台まで低下したのはハイテクバブルが起きていた2000年末のこと。当時と今を比べたら、米国の人口はざっくり5000万人くらい増えている。いかに雇用が増えているか、という証左である。

肝心なのはこれだけ経済が好調であっても、賃金や物価の上昇は緩やかで、金利もなかなか上がらない。ゆえに投資には絶好の環境が続く、という「ゴルディロックス経済」であるために、長期にわたって株高が続いてきた。それが物価上昇率は2%程度となり、長期金利も3%台に乗せてくると、いよいよ普通の景気上昇局面が到来したことになる。端的に言えば、「今年は3回程度だろう」と言っていた利上げが、「やっぱり4回になるんじゃないか」と相場観が変わってくる。とりあえず6月12-13日のFOMC(米公開市場委員会)における利上げ確率は100%だろう。


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