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 神戸製鋼所は20日、製品の検査データ改ざんが発覚した後も、社内監査を行った一部の工場で、管理職を含む従業員らがデータ改ざんを報告せず、隠していた妨害行為があったと発表し、謝罪した。社外の有識者による外部調査委員会を新たに設けて不正の原因究明と再発防止を急ぐ。鉄鋼製品の新たなデータ捏造(ねつぞう)も見つかった。

 隠蔽(いんぺい)があったのはアルミニウム・銅製品をつくる長府製造所(山口県下関市)。今年8月以前に作られたアルミ製品で、顧客企業と約束した製品の基準を外れた寸法となっていたのに、今夏の自主点検で報告せず、発覚を免れていた。さらに8月末の不正発覚後に本社が実施した緊急監査時にも、同じ隠蔽があった。組織ぐるみの可能性が高いという。社内相談窓口への情報提供で判明した。

 記者会見した梅原尚人副社長は「不適切な行為について改めておわびする」と謝罪。隠蔽の動機について、「過去の不正の発覚を免れる狙いだったと思われる」と話した。

 同社は今回の隠蔽発覚を受け、「より客観性を担保する必要がある」(梅原副社長)と判断。これまでの社内の調査委員会に代えて、第三者でつくる外部調査委員会を設ける。

 また、工業製品の安全性を示す日本工業規格(JIS)の認証機関から、子会社「コベルコマテリアル銅管」の秦野工場(神奈川県秦野市)が立ち入り調査を受けたことを明らかにした。同社の製品やずさんな品質管理体制が、JIS規格を定めた工業標準化法に違反する疑いを指摘されている。製品の認証取り消しなどに発展する可能性がある。

 さらに、子会社がつくる「厚板加工品」という鉄鋼製品で過去に、厚さ測定の未実施や検査データの捏造があったと発表した。神鋼の「本丸」である鉄鋼事業での相次ぐ不正で、経営へのさらなる悪影響は避けられない。(辻森尚仁)

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