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衆院選の結果は消費増税や憲法改正などの行方を左右しそうだ。予定どおりの消費増税で子育てや教育を充実させると主張する自民、公明両党に対し、野党は増税凍結や中止を訴える。自民や希望の党が前向きな憲法9条改正には立憲民主党などが反対する。原子力発電の活用の是非も争点だ。

安倍晋三首相は2019年10月の税率10%への消費増税の使途変更を理由に衆院を解散した。自公は増収分の使い道を見直すものの増税自体は予定どおり実施する立場。希望と立憲民主、日本維新の会、日本のこころは凍結や先送りを主張する。共産党は増税の中止を求め、社民党も反対だ。

自公は5兆円あまりの増収分のうち国の借金膨張の抑制に充てる分を減らし、子育てや教育の充実に振り向ける。自民は幼児教育・保育の無償化など「人づくり革命」に2兆円規模の政策パッケージを組むと主張する。目標だった20年度の基礎的財政収支の黒字化は不可能になる。新たな目標時期は今後検討する。

他党も教育無償化など家計の支援策を掲げる。希望は幼児教育・保育の無償化と大学の給付型奨学金の大幅な拡充をうたう。最低限の生活に必要なお金を配るベーシックインカム(最低生活保障)の導入も打ちだした。財源の捻出策として歳出削減や大企業の内部留保への課税検討を挙げた。

内部留保をめぐっては公明も「労働分配率の低下などに対応するため内部留保の透明性を高める」と公約に記している。

幼児から高等教育まで幅広い無償化を掲げる維新は議員報酬・定数や公務員人件費の削減などで財源を得ると主張。共産は幼児教育・保育のほか高校授業料の完全無償化を訴える。大企業の法人税率の引き上げや富裕層の資産に課税する「富裕税」の創設などで財源を捻出すると説明する。

自公は安倍政権の経済政策で雇用や所得が良くなってきたと実績を強調する。共産や立憲民主、社民は所得の再分配を強める方向に経済政策を転換すべきだと主張する。希望は「アベノミクスは規制改革が不十分」として特区を活用した抜本的な規制改革を進めると訴える。

エネルギー政策では、自民とこころが原発を電源として今後も使っていく方針を示した。希望は30年までの「原発ゼロ」を掲げるが、既存原発の再稼働は認める。維新は原発が「フェードアウト」していく将来を描く。共産と社民は既存原発の再稼働にも反対する。

憲法改正は、自民が自衛隊の明記や教育の無償化・充実強化など4項目を中心に議論を進める方針だ。自民党総裁の首相は20年に新憲法を施行する目標を5月に掲げたが、公約では時期に触れなかった。希望や維新、こころも9条改正を含めた議論に前向きだ。

立憲民主は首相の解散権の制約や知る権利の拡大といった内容の改憲論議は否定しないが、15年に成立した安全保障関連法を前提にした「9条改悪」に反対する。共産、社民も9条に手をつけることに反対している。

公明は自衛隊明記について「意図は理解できないわけではないが多くの国民は自衛隊を憲法違反の存在とは考えていない」との立場を取る。連立を組む自民と温度差がある。

安保法をめぐっては自公だけでなく、希望や維新、こころも一定の評価をしている。共産、立憲民主、社民は違憲として見直しを訴えている。

挑発をくり返す北朝鮮をめぐっては自民が「圧力を最大限に強化する」と公約に記した。こころは抑止力を高めるため敵基地攻撃能力を保有すべきだと主張する。共産と社民は「対話による平和的解決」を訴える。



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