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突然の解散で始まった衆院選は21日、選挙戦最終日を迎えた。超大型の台風21号が日本列島に接近する悪天候の中、各候補者は商店街や主要駅前を駆け巡り、最後まで熱い舌戦を展開。野党再編で争点が見えにくいとの指摘もあり、有権者は子育て政策や消費増税、憲法改正などを巡る訴えに耳を傾けた。日本の未来を誰に託すのか。

 ■商店街で

 近くに商店街や住宅街がある東京都杉並区のJR阿佐ケ谷駅前の午前8時すぎ。野党前職の街頭演説に聞き入った同区の主婦(33)は「家計を考えると消費増税は苦しいが、将来を見据えた社会保障の充実が必要だと感じている」と話した。

3歳の長男を持ち、2人目の子供を来春に出産予定。3年前に退職し、今は機械メーカーに勤務する夫の収入が一家を支える。「私の子供たちは年金をきちんともらえるのだろうか。長期的な視点で考える政党に一票を投じたい」

午前11時の東京都世田谷区の祖師谷商店街。雨風が強まる中、買い物客らを前に野党前職がマイクを握った。

「景気が回復したという実感がない」とため息交じりに話すのは、同区の主婦(35)。出版社に勤める夫の給与は5年ほど前から右肩下がり。2人の子供は私立小に通い、子育ての負担が膨らんでいるという。教育無償化の議論が進む中、「庶民目線に立ち、経済格差を埋める政策を真剣に考えてほしい」と訴えた。

同区の男性(69)は幼少期から、父親に太平洋戦争時の体験を聞いて育った。「戦争を繰り返してはならないという思いを引き継ぐのが我々の使命。平和を守り続けてきた憲法を大切にしたい」という。

 ■ターミナル駅で

 選挙戦最終日は、都内の繁華街のターミナル駅では、与野党の候補者が相次ぎ演説に臨んだ。午後7時半ごろ、東京都千代田区のJR秋葉原駅前は、傘を差した有権者で埋まった。

千葉県浦安市の男性会社員(19)は、今回が初めての国政選挙。「いろいろな政党ができたので、インターネットで政策を確認した。細かい違いまでは分からないが、自分の考えに合った政党を選びたい」と話した。

東京都足立区の男性会社員(25)は「今回の選挙は国民不在。与党は森友・加計問題を隠すために解散し、野党は自分が当選するために主張を変える候補者が多かった。どこに投票すればいいのか分からない」と困惑した様子で話した。

東京都豊島区のJR池袋駅前では都内で不動産業を営む男性(70)が、与党候補の演説に足を止めた。「国会では憲法改正の賛否ばかりで、中身が議論されていない。改正するなら一般市民が理解できるように理由を説明すべきだし、反対であれば代案を示してほしい」と注文を付けた。



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