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文部科学省の専門委員会は24日、動物の受精卵に人の細胞を注入した細胞の塊(胚)を動物の子宮へ移植し、人の臓器を持つ動物を作る研究を条件付きで容認する方針をまとめた。国の現行指針は子宮に戻す行為も禁じている。子ブタの体内で育てた人の膵臓(すいぞう)が移植に使えるかを確かめたり、人の細胞を備えたマウスを創薬に生かしたりする基礎研究に道を開く。

専門委の方針では、研究計画を実施機関と国がそれぞれ審査し、科学的合理性と社会的妥当性が認められれば「基礎研究に限って容認することがあり得る」とした。年内に指針改正に関する報告書をまとめ、内閣府の了解を得て指針を改正する予定だ。

現行指針は動物と人の細胞が混ざった「動物性集合胚」の培養は最大14日に限定し、子宮に戻すことを禁じている。人の臓器を持つ動物の誕生は想定していない。

ただ専門委は、国内外の科学的な知見などから、人の手足などを持った極端な動物が生まれる可能性は極めて低いと考えられると判断。臓器の一部を人の臓器に置き換えた動物などの作製を認める方針に傾いた。

ブタの受精卵に人のiPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)などを注入して人の膵臓を持った子ブタを産ませ、1型糖尿病の治療に使う研究などが可能になるとみられる。



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