ニュース本文


政府は15日、国家戦略特区の認定プロセスの透明性の向上策を決めた。自治体などの提案を精査するワーキンググループ(WG)の議事要旨を速やかに公表することが柱だ。学校法人「加計学園」の学部新設を巡り、経緯が不透明だと批判を受けたことに対応する。だがWGの座長の判断で議事録を非公開にできるなど、議論の過程を十分検証できない懸念は残る。

首相官邸で開いた特区諮問会議で透明化策を決めた。これまで明文化していなかったWGの議事公開のルールを策定した。

自治体などからの提案を選定するWGの議事要旨は会議後、速やかに公表すると定めた。より詳細な議事録は4年後をめどに公表するとした。安倍晋三首相は「議事運営ルールの明文化について、しっかりと取り組んでほしい」と語った。

一方、議事録などの公開により新事業の提案者が不利益を被る恐れがある場合、座長の判断で議事録などを非公表にできる。新事業の運営予定者などは従来と同様に「説明補助者」として会議の参加者とは扱わず、発言や出席の事実は記録に残さない。

座長の八田達夫・大阪大名誉教授は日本経済新聞の取材に「提案者の発言を全て公開すると、既得権益側から改革を阻まれる恐れがある」と説明した。特区認定の可否を巡る協議の内容を検証できない懸念は残る。

15年6月のWGは加計学園幹部らが出席して委員らの質問に答えた。だが議事要旨には発言内容や出席した事実も記されていない。野党などは「仮に特定の自治体や事業者を優遇しても検証できず、公平性に支障をきたす」と問題視していた。



記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る