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住宅宿泊事業法(民泊法)の施行まで半年に迫るなか、自治体が条例で独自に営業エリアや日数を制限するなど上乗せ規制する動きも広がってきた。観光客が多くいち早く動きが進む東京都内では、12月に入って大田区と新宿区でそれぞれ規制条例が成立。導入の方針を表明している区を含めると、すでに23区の半数近くが規制案を公表し準備を進めている。

大田区の場合は住宅地(住居専用地域)や工業地域などでの営業を全面禁止。新宿区は月曜正午から金曜正午まで住宅地での営業を認めないことを決めた。世田谷、中野などの区も独自規制案を公表しており、18年2月開会の各区議会に条例案を提出する考えだ。

都道府県や保健所を置く市・東京23区は民泊法にもとづき条例で独自に規制ができる。訪日客に人気の高い北海道や京都市も導入する方針を打ち出す。

各地の自治体が独自規制を設けようとする背景の一つにあるのが、許可を得ない「ヤミ民泊」の増殖だ。

「民泊は禁止」。渋谷区のあるマンションでは入り口に4言語で警告されている。

しかし、複数の部屋の持ち主がひそかに仲介サイトに掲載。住民女性は「スーツケースを引く旅行者が現れる」と眉をひそめる。厚生労働省の調査では、許可取得を確認できた物件は対象の16.5%にとどまった。サイト「民泊ポリス」には、「騒音やゴミ出しなどマナーが悪い」といった無許可民泊の情報が、開設から1年半で1500件強寄せられた。

ただ、規制があまりに厳しくなれば、民泊法が骨抜きになると懸念する声もある。当面、規制と普及の難しいバランスが求められそうだ。



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