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【ブリュッセル=森本学】化学兵器禁止機関(OPCW)は21日、シリアのアサド政権による化学兵器の使用疑惑を巡り、調査団が同日、使用現場とされる首都ダマスカス近郊の東グータ地区ドゥーマを訪れ、試料を採取したと発表した。今後、オランダにある研究施設で詳細に分析する。結果の判明には数週間かかる見通しだ。

OPCWの調査団は現場で化学兵器が使われた証拠を集めるのが目的で、加害者の特定までは行わない。調査団は米英仏軍によるアサド政権へのミサイル攻撃直後の14日にダマスカスに到着したが、ドゥーマでは発砲や爆発などがあり、これまで現地入りが実現していなかった。OPCWによると、調査団が訪れたのは複数ある現場のうち1カ所という。

米政府はドゥーマでは塩素ガスに加え、神経剤サリンも使用されたとみている。一方、アサド政権やその後ろ盾となっているロシアは化学兵器の使用を否定する。OPCWによる調査結果に注目が集まっている。

ただ米国などは、アサド政権やロシアが調査団のドゥーマ入りを妨害し、その間に化学兵器に関する証拠類を隠滅した恐れがあるとも指摘する。米英仏軍による攻撃から約1週間を経て、ようやく調査団の現場入りが実現したが、真相究明につながるのか不透明な面も強い。



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