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弘前大学とクラシエホールディングスは、高齢化に伴い課題になっている「生活の質(QOL)」維持へ向けた共同研究講座「QOL推進医学講座」を開設した。健康と病気の中間状態とされ、QOLを左右する未病状態(フレイル)に関連が深いとみられる「冷え」の解明を進める。研究には弘前大が持つ住民健診のビッグデータを活用。クラシエは新事業として「冷え」を予防・改善する機能性食品の開発に乗り出す。

フレイルとは、加齢とともに運動機能や認知機能が低下し、心身が脆弱になった状態のことをいう。複数の慢性疾患も影響するが、適切な支援をすれば生活機能の維持向上が可能とされる。フレイルをそのままにしておくと要介護状態へ進むと考えられている。

弘前大とクラシエは、万病の元といわれる「身体の冷え」がフレイルに関連しているとみて、5月下旬から行う弘前大COI(センター・オブ・イノベーション)の大規模住民健診に「冷え」の検査項目を入れる。住民に血流の検査や細かな聞き取りをして、健診で実施する約2000項目の検査項目との関連性を調べる。

クラシエはフレイル状態への適切な支援として、まず、血流を改善して体温を上げるような機能性食品を開発する。全国で生産量1位の青森県産ゴボウから機能性物質のポリフェノールを安定的に生産する方針だ。

同社は食品、日用品、漢方の3事業が柱だが、岩倉昌弘社長は「当社は冷え状態に対して多面的なアプローチができる強みがある。QOL改善の事業を第4の柱に育てていきたい」と話す。

研究を統括する弘前大学COI拠点長の中路重之特任教授は「QOL改善に向けた本格的な研究は全国でも例がない。高齢化が進むなか、QOLを考慮していく必要がある」としている。



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