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 【ベルリン=宮下日出男】チェコ下院(定数200)選の投票が21日まで2日間の日程で行われた。即日開票された結果、新興政党の中道右派「ANO2011」が初めて第1党を確実にした。同党党首のバビシュ氏は大富豪で欧米メディアは「チェコのトランプ(米大統領)」ともなぞらえる。極右新党など他の新興勢力も大きく躍進した。

 現地メディアによると、開票率約98%の時点でANOの得票率は29・94%に上り、他党を大きくリード。日系のトミオ・オカムラ氏が率いる極右新党「自由と直接民主主義」(SPD)と右派の市民民主党、新興の「海賊党」が10〜11%で2位を争い、ソボトカ首相の中道左派、社会民主党は7・34%で惨敗した。

 ANOは汚職撲滅などを主張する反既存勢力として前回選で第2党に台頭し、社民党主導の連立政権に参加。「行政スリム化」とともに、欧州連合(EU)に懐疑的な世論を受け、EUの難民受け入れ分担策や現時点のユーロ導入への反対を掲げる。SPDはさらに強い「反難民・移民」「反EU」の立場をとる。海賊党は行政の透明化や直接民主主義の重視などを訴えており、欧州で近年強まった既存政治への反発が同国でも示された形だ。

 隣国オーストリアでは15日の総選挙で「反難民」の中道右派と極右政党が躍進した。チェコは難民問題を抱えないが、欧州への大量流入を機に欧州で左派が後退し、右派が伸長する流れが表れたともいえる。



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