つくばの秡川 (はらいかわ) です。 お世話になっております。 PC-Talker XP の動作不良、松田さん以外からも 1 名ありました。 PC-Talker 7 では再現しない現象なので、とりあえずは PC-Talker XP を調達して現象を確認することにしました。 任意文字列の QR シール作成については、手元では実現できているものの、実際に使っていただくとなると、文章がどこまで入ったか (文字数が多くて途中でちょん切れてしまうとき) を音声で確認できたり、シールにできても携帯電話では読めない文字を指摘したりなど (シールで伝言する相手は視覚障碍者にかぎらないだろうから、機種ごとにちがわないといいなあ) 、もうすこし手を入れないと使えないです。 あと、情報処理学会では、お約束どおり Barcode-Talker for Windows のソースコードそのものを無償で開示できるよう段取りを進めています。今月中に、なにかしらのアナウンスができると思います。 開示をはじめてからだと愚痴に聞こえてしまうので、先に本心を打ち明けると、どんどん改良してほしいと思いますが、複雑なところもあります。というのは、プログラマが一時的にがんばって便利にしてしまうと、世の中が「それでいいじゃん」となって、変革の機運を失ってしまうからです。 いままでの、よく見知った方に技術情報を開示するのとはちがって、このあたりはちょっとこわいですね。 Barcode-Talker は 視覚障碍者の日々の生活をよりよく変えてくれる道具ではなくて、視覚障碍者自らの手で日々の生活をよりよく変えていくための道具として開発されています。過剰なソフトウェアの進化は、社会モデルの進化を妨げてしまいます。 なんたらショーなどの展示会では技術デモが行われますが、一般にデモは短距離走です。ヒト,モノ,カネを際限なく投入し、見物客をアッと驚かす。私たちのデモは中・長距離走です。ある有能な選手が倒れたらはいお仕舞い、というわけにはいきませんし、コスト合理性の高い解法を社会的に開発していかなければ「目が見えなくても中身がわかる」世界は長続きできません。 なるたけ素直な、長続きする落としどころをもとにモデルを考え、そこを目指して情報技術を惜しげなく投入していく。そういったモデル尊重主義を頭の隅に改良に取り組んでいただける方が一般からも現れるかどうか、やや心配ではあります。 とはいっても僕だけの力で世の中をよくしていくことはできません。力をあわせて頑張っていきましょうね。