大阪の松田です。9月18日、大阪市鶴見区の「おおさかパルコープ つるみ店」でさざ波さん主催の「QRコード読み取り講習会」があり、家内と共に参加してきました。さざ波さんでは、視覚障害者が買い物をして、そのパッケージが似たようなものがあって、区別できないという生活の中で感じている不便さに対しての取り組みの一環として購入した商品をサービスカウンターに持って行くと携帯電話で読むことのできるQRコードを発行するサービスを2011年8月1日より開始しているとのことでそれで今回、そのQRコードがどのように発行され、視覚障害者がどうやって携帯電話で読んだらいいのかという講習会が開催されました。参加者は視覚障害者・晴眼者含め総勢13〜15人くらいだったと思われます。(すいません。そのあたり正確に数えてないです。)携帯電話の機種はらくらくホンプレミアムが1人、らくらくホン6が1人の他は、らくらくホン7が多数を占めているように感じられました。らくらくホンでは、機種ごとにカメラの位置が異なることを考慮し、さざ波さんでは、機種によって最適化された読み取り台を制作されておられるので、それぞれの参加者は、自分の機種に対応した読み取り台を割り当てられて読んでいました。それぞれの自己紹介の後、まず、携帯電話(らくらくホン)でさざ波さん制作の読み取り台を使って、あらかじめ用意されたQRコードのサンプルを使って読んでみようというところから始まりました。読み取り台はカセットテープのケースを二つ重ねて、それをを土台にし、その上に、カメラのレンズ位置をカセットテープケースから跳ね出すように携帯電話を載せるというのは、どの機種も共通なのですが上述したように機種によってカメラの位置が異なるので、針金やプラスチック板をそれぞれの機種に合うように加工して、携帯電話本体が正しくセットされると、ガッチリ嵌まるようになっています。らくらくホン3・4・5用はカメラの位置が本体の先端にあるので針金をU字型に曲げ、かつ、カメラ側が水平になるように、フックをつけて読み取りやすくしていました。らくらくホン6とプレミアム用は画面側にカメラがあるのは同じですが、ヒンジに近い側にレンズがあるので読み取り台も異なっています。こちらは他の読み取り台と違ってレンズの位置が斜めになるようになっているので、他の機種を使うより読ませ方の目安に若干コツが必要です。そしてらくらくホン7用は3・4・5用と違って、フックがないのと長さ方向が固定できるように、携帯電話のおしり部分が来る部分にストッパーをつけてありました。読み取り台を触っただけでは何が何だか、どうやって使えばいいのか分からないけど、簡単に説明してもらうだけで簡単にセットできていたようでした。読み取るものはさざ波さんに事前に用意していただいた資料の中に商品のQRコードを印刷し、紙に貼られているものがあったのでそれをを読むことにしました。いよいよ、QRコードを読み取っていくわけですが、事前に読み取りを起動する前にセットしておきます。読み取り台の高さがQRコードとカメラを離す距離に最適化されているので後は、位置が合えば比較的簡単にQRコードを読むことができていたようです。といっても、最初のうちは、皆さん位置を合わせるのに少しばかり苦労されていたみたいで、失敗してしまうこともあったように見受けられましたが、時間と共に、コツが分かってきたのか、そこまで苦労しなくとも読めているような印象でした。テーブルごとに、「カメラの位置がここだから、QRコードは読み取り台からこれだけ離せばいいんじゃないか」とか試行錯誤し、話し合いながら、よりよい読み取り方を見つけたり会得していくような雰囲気で進んでいた印象でした。ある程度読めてくると、今度は店舗で実際に買い物をして、QRコードを発行してもらうのを体験しました。流れとしてはレジで会計を済ませた後、サービスカウンターに商品を持って行き、QRコードを発行して欲しい旨を係の人に伝えると、係の人はモバイル端末で商品についているバーコードを読み取って、印刷指示を出すと、カウンターに設置されているラベルプリンタからQRコードが発行されるという仕組みです。そのQRコードはその場で貼ってもらうこともできるようです。こうすることによって、同じ商品でも、違う味のものだったり、似たようなパッケージのものを判別できるようになります。さらに、さざ波さんでは、以前に275 種類くらいの商品に調理法を入れてくださっているようで、買ったけど、どうやって作ればいいのか分からないという情報もQRコードに格納されています。例えば、カップラーメンだったら「お湯3分」といった具合に。たまたま、QRコードをバーコードの近くに貼ってしまうと、QRコードを読みたいつもりが、バーコードを読んでしまって、JANコードの数字しか入力されなかったりとかということもありました。その後は、自分の購入した商品には、QRコードが貼られているので、パッケージの形によって、読み取り方がどう変わるのかとか中には読み取り台を使わずに、フリーハンドで挑戦する方などもいらっしやったようで短い時間の中で、いろいろとチャレンジする方も。また、らくらくホン6とプレミアムに関しては前述したように、他の機種とちがって、レンズの位置が斜めになるようになっているので、他と違うコツが必要でしたが、QRコードと読み取り台本体との間に指何本分くらいの隙間を空ければいいかなど、自分なりの方法を見つけていたようでした。さらには、読み取り台の長さ方向を利用して、つまり、読み取り台を縦に回転してBarcode-Talkerを使ってバーコードの読み取りに挑戦した人も。結論は問題なくできました。カセットテープケースの長さは100mm強なので、十分読み取れる範囲でした。さざ波さんでは、読み取り台を作ったが、まだまだ改善の必要は大いにあると仰ってて、作ってから、実際に読み取ってみて初めて分かることもたくさんあるし、自分たちだけでやっていては、発想に限界もあるので、できるだけいろいろな方の意見を聞きながら、改善にと努めていきたいという意見を聞いたので、みんなでアイデアを出せていけたらいいなぁ、と感じました。携帯電話で読み取るメリットは、携帯電話と現代人においては、必需品となりつつあって、一般的に普及しています。しかも、いつも肌身離さず持っている確率が非常に高く、簡単に使えるのが最大の特徴です。QRコードを読み取る専用の機械は存在はしますが、購入しなければならないのと、QRコードが読めるものは非常に高価なので、一般に広く普及するとは考えにくいです。しかし、携帯電話なら、持っている人が多いので、読み取りが難しいなら、自分たちで何とか工夫して、快適に読める方法を見いだせないか、と考えます。その方法の一つが、さざ波さんの取り組みとして動いているのだと思います。さざ波さんはそれぞれの機種に応じた専用の読み取り台を制作されておられるのでその精度は抜群でした。できることなら全国の方に使っていただきたい気持ちもありますが、一つ一つが手作りなので、講習会に参加すればなんとか、という感じなのだろうと思います。割り当てられた読み取り台はいただけたのですが、まさか本当にいただけると思っていなかったので、とても嬉しいけど、恐縮するところでもありました。いくつかストックもあったようで、数を多く作ると、コストもかかるだろうと思うのでいくらか支払わないといけないという気持ちもあって、申し訳ないという思いも持ちつつ、ありがたくいただきました。短い時間ではありましたが、とても充実していたように思います。生協を利用している視覚障害者は数多くいらっしゃると思うのでこのようなサービスが全国の生協、さらにはスーパーなどにも広がっていくと社会にも認知されるようになるかもしれないし、日々の生活がより充実したものになるんじゃないかと思います。そのためには、草の根的ではあるけど、それぞれができる範囲で活動していくことが大切だと感じました。知り合いの方にもこういった取り組みがあることを宣伝していただけたら非常にありがたいと思います。