つくばの秡川 (はらいかわ) です。 渡辺さんこんにちは。 高密度 QR の件、あふれ文字数の検出がまだ未着手です。ごめんなさい。 メーカのメリットは、ご賢察のとおり、現状では CSR (Corporate Social Responsibility) 以外にはないように思いますよ。 だからこそ、コストのかからない方法でないと、やってらんないわけです。そりゃ、コストがかかろうと、等しい情報アクセシビリティを担保するためメーカがあらゆる努力をするのが理想であり責任でもありますが、コストのせいで競争力が落ちたら、会社の存続にもかかわりますからね。 かといって、我々は数がすくなすぎて、良心的な製品をみんなでドカンとまとめ買いしたところで、屁のつっぱりにもなりゃしない。 かけるコストと読みやすさは相反しますから、どの程度の触知加工が合理的か、ぶっちゃけて言えば、どこまでコストをケチれるのか、という根幹の問題に、私たちが実体験を通して広く意見できる、というのは、これは相当おもしろいことだと思います。 追い風は、3 つあります。 ひとつは、パッケージのプロ (専門の専に武士の士と書いて、包装専士といいます) が協力してくださっていることです (実際には複数いらっしゃるので、包装専隊パッケージャーか) 。 もうひとつは、パッケージの小さな文字 (とくに成分情報やアレルギーの情報) が、現状でも問題になってきていることです。このプロジェクトではデータベースのライセンスの事情で、対象を高齢者までは広げていませんが、同じ枠組みは高齢で著しく視力の落ちた方にも有効だということです。 もうひとつは、合理性は時代とともに変化するということです。 近距離きっぷは途中下車してもお金が返ってきませんよね。そりゃそうで、230 円区間を 160 円で降りても、差額を勘定して返す人件費で、70 円以上かかっちゃいますもん。だからかつてはこれでも合理的でした。 でもいまは自動精算機があるんだから、きっぷを入れるとお釣りが返ってきたっていい。もしかすると差額が返ってくるほうが合理的かもしれません。 そうなる前に、Suica みたいなもっと合理的なのができて、清算機で払い戻し、なんてことが必要なくなってしまいました。 いま選ぶ落としどころは、視覚障碍者のことを真に考えた、というよりは、メーカにずいぶんと歩み寄ったところになると思います。でも、製造技術の進歩や端末の進歩などで、同じコストでも、もっと合理的な落としどころに将来的には進化できるんじゃないかなーと期待しています。 そして、その第一歩ですよみなさん。 以前に Barcode-Talker はすごく遠大なプロジェクトで、それがどの程度かというと、世界征服の第一歩としてまず幼稚園バスを襲う、というくらい遠大だという話をしました。 いままで、いくつものプロジェクトが幼稚園バスの襲撃に何度も成功してきましたが、そこで予算が尽きて終息し、振り出しに戻りました。 このプロジェクトがちがうところは、「情報技術者だけがいくらがんばっても、理想の世の中などやってこない」という立場で、はじめから IT 業界、デザイン・印刷・パッケージ業界、視覚障碍者を巻き込んで、広くみんなで落としどころを探るつもりでいることです。 実験に参加されたかたは、おところ (○○市まで) とお名前 (ペンネームでももちろん可) を、プロジェクト終了後もウェブページに一覧で残させていただくつもりでいます。