この文字はもちろん手の形からできた象形文字。しかし今の字形はかつてのそれとは異なっていて、原型は手片に近い物。確かに掌を広げた形は親指と小指の成す傾斜や中指のぴんとした様子がそれに似ているように思われます。時代を経て字形が変わることはよくあるようで、調べているとそのようなことを2つ3つは目にします。結果的にわかり易くなることもあれば、逆に理解を混乱させていることも暫し。文字や言葉が変化するのはそれが生きている証拠、という人もいますが元々のよいところはそのまま生かして欲しいものです。さて、手片は手に関連する片。例えば「指」。旁は、上部が人、下部が太陽を表している。日に人が照らされることから、「しめす」「さす」。そのような動きをする部分として手片を付けて「指」となった。手といえば必ずあるのが利き手。私は右利きです。ところで、右と左。片仮名の「ナ」に「口」か「工」が付くかの違い。「な」は手を表していて、左から書く「横棒」と右上から書く片仮名の「ノの字」で区別している。では残りの部分にはどのような意味があるのか。「工」は、大工道具の差金や鑿、又は2枚の板が合わさっている様子からできた小計文字。道具を使う時、板を押さえる時は左手を使う。そこから「ナ」と「工」で「左」に。では右はなぜ「口」なのか。あくびをした時。驚いた時。恥ずかしさを隠す時。口を覆うのは?これは多くが右手。そんなところから「口」が選ばれたようです。古き時代を感じる話しです。現代であれば差し詰め、右はマウス、左は携帯電話といったところでしょうか。