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経産省は5日の審議会で、供給途絶リスクがある事業者へ液化天然ガス(LNG)を供給できるよう、有事に備え民間企業による余剰LNG確保の仕組みを確立する方針案を示した。写真はLNGタンカー。千葉・富津で2017年撮影。(2022年 ロイター/Issei Kato)

[東京 5日 ロイター] - 経産省は5日の審議会で、供給途絶リスクがある事業者へ液化天然ガス(LNG)を供給できるよう、有事に備え民間企業による余剰LNG確保の仕組みを確立する方針案を示した。今回の議論を踏まえ、月内の基本政策分科会で報告し、今後のエネルギー政策へ反映する。

経産省が審議会で示した「戦略的余剰LNG」の確保案では、まず独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に基金を設置する。その上で、要件を満たす民間企業を募り、承認された民間企業は中期や長期契約により余剰のLNGを確保し、平時には海外市場や国内事業者へ販売できるが、LNG途絶などの有事には、経産省が指定する国内事業者へ販売する。

この時の取引で生じる損失はJOGMECにある基金から補填し、利益が出たときには基金へ利益を還元する仕組み。

予算の制約がある中で、20年中ごろまでは長期契約の締結が難しくなっていることを踏まえて、まずは短期の契約を締結し、LNG需要が伸びる冬季に月当たり最低1カーゴではじめ、中長期的には冬季に限らず月1カーゴ、年間で12カーゴの運用を目指す。

石油のように長期間タンクに置いた備蓄が困難というLNGの性質を踏まえて、これまでも非常時を想定した国による調達の仕組みを導入しているが、普段から民間の活用能力を生かしてLNGを確保し有事に備えるのが狙い。

ロシアの石油・天然ガス開発プロジェクトであるサハリン2は日本のLNG輸入の約9%を占め、新会社への移行が順調に進んでいるものの、供給途絶リスクはぬぐい切れない。またマレーシアのペトロナス社が土砂崩れによるパイプラインからのガス漏洩で不可抗力による(フォースマジュール)供給停止を日本の販売先に通知するなど、LNGの調達環境は不確実性が高まっている。

経産省によると、こうした環境下で、各企業で複数国から円滑にLNGを調達することの難しさや緊急時の対応への準備、LNGの取り扱い量や経験の差など、エネルギーの安定供給の観点からの課題が出てきているという。

審議会の委員からはエネルギーの安定供給の確保の観点から評価できるとの声が上がる一方で、民間企業のインセンティブなく協力を求めるのは株主への説明責任も含め筋が通らないといった指摘もあった。

経産省からは、余剰の調達により上流の権益の交渉において数量面で有利に働くといった点やLNGの購入時のバーゲニングパワーにつながるといった点が挙がったが、引き続きの検討事項とされた。


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