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[30日 ロイター] - 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は30日、香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法案」を可決した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●米上場廃止に動く中国企業の香港上場促す

<TSロンバード(ロンドン)のエコノミスト、ローリー・グリーン氏>

こうなることは1カ月以上前から分かっていた。香港国家安全維持法制定への動きは、昨年の民主化デモを受けて加速した。デモは中国が香港への統制を強めるきっかけとなった。

経済的影響としては、貿易が影響を受ける可能性がある。香港の港を通過する貨物には、技術関連製品がかなり含まれている。ただ、現時点で通商合意を妨げる可能性は低い。

金融ハブとしての地位に関しては厄介だ。プラス面としては米市場の上場を廃止し、本土により近い香港への上場を検討する中国企業を呼び込むだろう。

その一方で、「政治リスクのない中国」への投資という側面が香港の大きな魅力だった。それが今、終わろうとしているようだ。投資家が今回の展開を受けて、投資先を香港からシフトさせるかどうかは、今後の課題となる。

●金融ハブとしての重要性低下

<ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの外為ストラテジスト、イラン・ソロット氏>

中国による香港国家安全維持法案の可決は控えめに言ったとしても香港の金融センターとしての地位を向上させるものではない。それどころか、世界的な金融ハブとしての香港の重要性を低下させるだろう。

また米中関係に新たなくさびを打ち込み、両国間の隔たりがさらに広がるだろう。地政学的、経済的、技術的な面で米中が離れていくとの見方が強まる。

●中国が世界に威嚇射撃

<コーネル大学の行政学教授、アレン・カールソン氏>

国家安全保障を何よりも優先させることで、香港の自治権が著しく奪われたほか、香港の人権と民主主義に対する法的保護も形骸化した。「一国二制度」の原則がとどめを刺されるとの懸念が現実化した格好だ。

さらに懸念されることは、香港国家安全維持法はアジアや他の国際システムに対する中国の威嚇射撃であり、習近平国家主席率いる中国が国際的な混乱や批判を恐れていないことを世界に示すものであるということだ。習主席が自身や中国の利益に相反すると判断すれば、習主席による現状への挑戦を止めることは難しくなるだろう。

●パンドラの箱開かれ、地政学リスク高まる

中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は30日、香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法案」を可決した。写真は香港の中国政府支持派の人々(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

<ナティクシス(香港)のエコノミスト、ギャリー・ング氏>

香港でパンドラの箱は開かれ、地政学リスクは高まる。米国が金融面で一段と厳しい制裁措置を導入すれば、他のアジア市場よりも香港市場のボラティリティーが高まる。

*コメントを追加しました。



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