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蛍光性の物質を混ぜ込んだスーツ装着済みのアニサキス(大阪大・境慎司教授提供)
蛍光性の物質を混ぜ込んだスーツ装着済みのアニサキス(大阪大・境慎司教授提供)

食中毒の原因として知られるサバなどの寄生虫「アニサキス」に薄いゲル状の?スーツ?を着せる手法を大阪大の境慎司教授のグループが開発した。スーツに混ぜた物質でがん細胞を死滅させる実験にも成功。アニサキスにはがん細胞に誘引される性質があるといい、境氏は「嫌われ者のアニサキスを医療に活用できるかもしれない」と期待を寄せる。

「スーツ」は厚さ0・01ミリほどで柔らかく、体長2?3センチのアニサキスの動きを邪魔しない。研究グループは、アニサキスの体の表面に西洋わさび由来の酵素を付着させた上で化学反応を起こすことで、体表を覆うように薄い膜を形成する手法を開発。さらに、スーツに化合物や酵素を混ぜ込み、さまざまな機能を持たせることにも成功した。

がん細胞にダメージを与える過酸化水素を作り出す酵素を混ぜ込んだスーツをアニサキスに着せ、1平方センチあたり千個のがん細胞を含む培養液に入れたところ、24時間後には大部分のがん細胞が死滅したという。

アニサキスは人の体内に入ると胃や腸の内壁に侵入して激痛を引き起こす一方で、がん細胞のにおいに誘引されるといわれ、胃でがんに付着していた事例も報告されている。境氏は「スーツを装着したアニサキスをがん治療に応用できる可能性がある」とし、事業化も視野に今後の展開を検討している。



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