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西南戦争の激戦地となった鹿児島市で19日、民間犠牲者を弔う慰霊塔の除幕式が開かれ、西郷隆盛の子孫ら約80人が全国から集まり、祈りをささげた。ロシアのウクライナ侵攻が長引く中、出席者からは戦禍の歴史を語り継ぐ大切さを訴える声が聞かれた。
慰霊塔は高さ約2・6メートルで、桜島を望む同市の南洲公園の一角に設置された。平和への願いを込め、岩手県出身の作家、宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」との言葉を刻んだ。
約6年前には隣に、西郷が率いた鹿児島県士族と明治政府軍双方の戦死者らを弔う慰霊塔を設置。西南戦争から145年の節目となった昨年中に民間犠牲者の慰霊塔も完成させたが、新型コロナウイルス禍で除幕式の開催が遅れていた。
建立に関わった有志の会の原口泉会長は「ようやく罪のない多くの犠牲者を慰霊することができた」と述べた。
西南戦争は明治10(1877)年に起きた、明治政府に対する不平士族の最後の反乱とされる。