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しかし、仮に廃業する中小企業が続出しても、供給過剰に陥っている日本経済の現状では、廃業する中小企業が供給している製品・サービスを残った他社がここぞとばかり供給することでしょう。また、一時的に失業者が発生するにせよ、超売り手市場の労働市場の現状では、大半の労働者は問題なく再就職できるはずです。

つまり、大局的には需要や雇用が廃業する中小企業から生き残る他社にシフトするだけの話で、中小企業庁が指摘する破滅シナリオの「可能性」はゼロではないでしょうか。中小企業庁の試算はあまりにも過大で、中小企業政策を推進したいがためのあおりと言えます。

メリハリある事業承継支援が必要

「そうは言っても、他社にまねできない独自の製品を持つ中小企業も多いのでは?」という反論があります。

しかし、そういう価値のある製品・企業は、他社から見て喉から手が出るほど欲しいので、廃業に至る前にM&Aが実現することでしょう。いいものには買い手が現れるという市場原理が働くなら、後継者難で価値ある中小企業が廃業に追い込まれることはありません。同様に、転職市場が機能していれば、スキルのある労働者が路頭に迷うこともありません。

したがって、国がとるべき政策支援は以下の3点です。

1:市場原理がきちんと働くようにM&A市場や転職市場を整備する
2:中小企業が廃業、労働者が失業した際のショックを和らげる
3:廃業しないよう企業に経営力を、転職できるよう労働者にスキルを上げてもらう

そして、事業承継の支援で大切なのは、延命措置やバラマキにならないよう、廃業する企業と残すべき企業を見極めて、メリハリある支援を行うことです。

しかし、現在の国の事業承継支援はそういう姿になっていません。

現在、国や自治体は補助金などで事業承継を積極的に支援しています。代表的なのは「事業承継補助金」。この制度では、後継者不在などの理由で事業継続が困難と見込まれれる中小企業が経営者の交代や事業再編・事業統合による経営革新を行う場合に、その取り組みに使った経費を補助します。

事業承継補助金を申請するには、中小企業が行う経営革新の内容・状況について、中小企業庁に登録された「認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)」の確認を受ける必要があります。この認定支援機関には全国の商工会議所や中小コンサルティング会社が登録しています。


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