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1月8日にレバノンのベイルートで記者会見したゴーン氏(写真:AP/アフロ)
「12月31日にゴーン氏がレバノンにいる、というニュースを聞いた時、正直裏切られた気がした。私の苦労は何だったのか、と」
そう振り返るのは郷原信郎弁護士だ。
検事出身の郷原弁護士は長年、日本の刑事司法制度のあり方、とりわけ特捜検察の手法を批判してきた。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏が逮捕された事件についても検察側に批判的な意見を数多く発表している。
ゴーン事件を書籍としてまとめることを念頭に、郷原弁護士はゴーン氏へ2019年11月末から12月27日まで計5回、10時間以上のインタビューを行った。
だが、その後ゴーン氏はレバノンへ逃亡。1月8日には現地で記者会見を開き、その後もメディアへの発信を続けている。
ゴーン氏は何を主張したかったのか。郷原弁護士に聞いた。

本を出すことで誤った論調や認識をただす

――どういう目的でゴーン氏にインタビューしたのですか。

私は、日本の検察と刑事司法制度のあり方を批判的に論じてきた。ゴーン事件に関しても検察の捜査や対応を批判してきたが、それはあくまでもマスコミ報道で事件を把握したものだった。

そのマスコミ報道は基本的に検察リーク、日産自動車のリークが元になっていた。ゴーン氏側の言い分や反論を本人から実際に聞いたうえで、客観的に評価・論評した本を書こうと考えた。

ちょうど、2019年春から議員会館で「人質司法」の勉強会を開催した知人が在日フランス人の公的代表の立場にある関係で、ゴーン氏の紹介を受けることができ、インタビューに応じてくれた。

――日本にいる間、ゴーン氏はほとんど公の場で発言してきませんでした。インタビューを受けたのは、検察批判をしている郷原弁護士なら自分の味方をしてくれると考えたからではありませんか。

ゴーン氏がマスコミの取材を受けなかったのは、2019年3月6日の最初の保釈の後、4月11日に記者会見をしようとして、直前の4月4日に再逮捕されたことが最大の理由だ。

彼は、2020年4月下旬に予定されている公判まで、記者会見やマスコミ対応をしない方針だったようだ。インタビューに応じたのは、私が日本の中で数少ない、ゴーン氏の事件の検察捜査に対する批判者で、自分の言い分をわかってくれると思ったからだろう。

私が本を出すことで、日本社会のゴーン氏事件への誤った論調や認識をただすことにつながり、裁判にも影響すると期待してくれていると思っていた。


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