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戦争は望まず、制裁の強化を続けるとするトランプ大統領(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

「体制変革の雰囲気」。ジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、1月12日にこのようにツイートした。イラン政府が当初は否定していたウクライナ旅客機撃墜の責任を認め、テヘランなどで連日デモが行われたことを受けたものだ。

ボルトンの後を継いだロバート・オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は体制変革を狙っていないと主張するが、ボルトンが推し進めたイランに対する「最大限の圧力」戦略を今後も継続する方針を示している。アメリカが殺害したイラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官は中東域内のシーア派民兵組織などを通じてアメリカの「最大限の圧力」戦略を崩そうと試みた。しかし、同司令官の死亡によってイランのその抵抗は打ち破られたとオブライエン補佐官は語る。

アメリカ側はイランとの交渉を再開する姿勢を見せているものの、アメリカの制裁緩和がないかぎりイランが応じる可能性は低い。ソレイマニ司令官殺害に伴う反米デモは旅客機撃墜によって反イラン政府デモに切り替わった。トランプ政権は追い風を受ける中、制裁を緩和するどころか制裁を強化する方向にある。トランプ政権が「最大限の圧力」戦略を継続する一方、ソレイマニ司令官亡き後もイランの代理戦争は続くため、中東には再び緊張が高まるリスクがある。

両国ともに事態のエスカレートを望まないが

アメリカとイランの衝突はニアミスとなり、とりあえず全面戦争は回避できた。だが、両国関係の緊張を高めた根本的な問題は解決されていない。イランはアメリカとの戦争を避けたいものの、中東地域での代理戦争を繰り広げており、核開発を進めかねない。トランプ政権も同様に戦争は望まないものの、経済制裁を強化するなどイラン封じ込めの強硬姿勢を緩めない。そもそもアメリカによるJCPOA(イラン核合意)の破棄とその後の経済制裁の強化が両国の緊張を高めた要因である。

1月8日のイラクのアル・アサド米空軍基地に対するミサイル攻撃ではイランは事前にイラクに通知していた。そのことから、ソレイマニ司令官葬儀に参列した数百万人ものイラン国民に報復措置をアピールする一方で、事態のエスカレートを回避する狙いがあったことがわかる。世界最強の軍隊を保有するアメリカとの全面戦争はできないことをイラン政府は理解している。

戦略国際問題研究所(CSIS)のセス・ジョーンズ上級アドバイザーによると、イラン軍はいまだに1960?70年代にアメリカとの良好な関係にあったモハンマド・レザー・シャー・パフラヴィー(パーレビ国王)時代のアメリカ製戦車や戦闘機を利用している状況だという。


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