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 鉄道関連の事業を手がける国内メーカーが海外で攻勢を強めている。コロナ禍で落ち込んだ外出需要の回復に加え、人口増加や脱炭素化の影響で、多くの人が乗れて二酸化炭素(CO2)排出量も少ない電車への関心が世界で高まっているからだ。日本勢は車体の軽さや運行管理システムの正確さが評価されている。

大型案件

ワシントンの地下鉄向け車両のイメージ=日立製作所提供
ワシントンの地下鉄向け車両のイメージ=日立製作所提供

 「カナダやイタリアなど、大型案件がたくさん取れている。車両が売れ、それが(周辺機器や運行システムの販売に)効いてくる」

 日立製作所の河村芳彦副社長は4月、2023年3月期の連結決算(国際会計基準)の記者会見で満足そうな表情を見せた。日立は鉄道事業の国内最大手で、車両の製造や運行システムの管理などを総合的に手がける。23年3月期の鉄道事業の売上高は前期比17%増の7360億円となった。

 コロナ禍からの経済正常化で、海外を中心に鉄道への投資が回復しつつある。

 川崎重工業は23年3月期の受注額が前期比の4倍超に膨らんだ。昨年10月に米ニューヨーク市交通局から新型の地下鉄車両640両を追加受注したことが大きい。ニューヨーク市の受注金額は17億ドル(約2400億円)で、前回の18年の発注と合わせると計32億ドルに上る。

 背景には、都市部への人口集中や脱炭素化などに伴う電車需要の高まりもある。国土交通省によると、環境問題や交通渋滞への対応により、鉄道産業の世界市場は25?27年の平均で約32兆円で、19?21年と比べて2割増えると見込まれる。

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