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VR映像で見られる天守閣展望フロアからの眺め(パソコン画面から)
VR映像で見られる天守閣展望フロアからの眺め(パソコン画面から)
ARで、現地に行かずに甲冑姿の記念撮影もできる(熊本高提供)
ARで、現地に行かずに甲冑姿の記念撮影もできる(熊本高提供)

 2016年の熊本地震で被災した熊本城の復興を支援しようと、県立熊本高(熊本市)2年生のグループが、天守閣内部を探索できるVR(仮想現実)映像を作成した。現地にいなくても、最上階からの眺望や展示の様子が楽しめ、専用サイトで公開している。生徒たちは「VRで熊本城の魅力を感じ、実際に訪れるきっかけにしてほしい」と期待を込めた。(内村大作)

 VRは「熊本城班」の中村凛音さん、荒木七海さん、秀嶋瑞希さん、松本姫奈さんの4人が作った。「総合的な探究の時間」で取り組む内容に熊本城を選び、昨秋から活動している。

 年間入園券を購入するなど、熊本城ファンという生徒たち。昨年4月には、被災から5年を経て復旧した天守閣が公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期になった。その後も公開中止や来場者の減少が続いた。「どうすれば復興を後押しできるだろう」。生徒たちが着目したのが、デジタル技術で、実際にその場にいるような体験ができるVRだった。

 同校の教諭やオンラインで専門家にも学びながら構想を練り、市熊本城総合事務所も協力してくれた。今年2、3月に天守閣を訪れ、360度撮影できる高性能のカメラで撮り、放課後や休み時間を使って映像化した。公開用のサイト( https://sites.google.com/g.bears.ed.jp/kumamoto-castle/ )を用意し、スマートフォンやVRゴーグルでも楽しめる。

 荒木さんは「自宅にいても、天守閣からの景色が一望できる。お城の魅力を全国の人に知ってもらいたい」と話す。サイトでは、スマートフォンのアプリで自宅にいながら、熊本城を背景に 甲冑かっちゅう 姿の記念撮影ができるAR(拡張現実)フォトスタンドも用意した。

 今後、ネット上のクラウドファンディングで、事務所から提供を受けた地震で崩落した瓦や、「奇跡の一本石垣」と注目された飯田丸五階 やぐら を同高生が描いたポストカードの販売も計画している。今月22日までの土日は、熊本市中央区のサクラマチクマモトの地下1階で先行販売中で、利益は熊本城の復興支援の寄付などにあてる予定だ。

 指導する早野仁朗教諭(43)は「好きから始まり、現場に足を運び、新しい技術も取り入れて進めている。長期に及ぶ復興の支援に、若い世代が取り組むことにも意味がある」と語る。

 熊本城は石垣の修復が続いており、全体の復旧完了は37年度の見込み。松本さんは「VRを作る中で、今まで知らなかった魅力に気付いた。復興には時間もお金もかかる。多くの人が支えていくことにつながれば」と話している。