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 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海内で3月以降、中国海警船が自船の存在を周囲に知らせる船舶自動識別装置(AIS)を作動させながら航行していることが、海上保安庁の関係者への取材でわかった。海保は、同諸島の実効支配を目指し、国際社会へのアピールを強化する狙いがあるとみて警戒している。

尖閣諸島・魚釣島周辺でせめぎ合う海保の巡視船(手前)と中国海警船(奥)(2023年1月)
尖閣諸島・魚釣島周辺でせめぎ合う海保の巡視船(手前)と中国海警船(奥)(2023年1月)

 AISの情報は、インターネット上で公開され、世界中の船舶の運航情報を公開するサイト「マリントラフィック」でも確認できる。海保関係者によると、海警船は3月以降、尖閣諸島の領海や接続水域(領海の外側22キロ)でAISを作動させるようになった。

 海警船は通常、4隻の船団で航行している。例えば、そのうちの1隻で船番号「1302」の海警船は、東シナ海を横切るように航行し、5月16日に接続水域に入った。同諸島の魚釣島や久場島を周回するように動き回り、20?21日には領海に侵入した。

 領海内では、日本漁船を追尾するような動きを見せ、マリントラフィックのデータでは、南小島南東の海域で不規則に方向転換を繰り返す様子が確認できた。

 一方で、現場で退去を求める海保の巡視船はAISを作動させていない。対応能力や運用を秘匿するためだが、サイト上では海警船のみが活動しているように見える。

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