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 【キーウ=上杉洋司】タス通信によると、ウクライナ東・南部計4州の親ロシア派勢力が23日、ロシアへの一方的な併合に向けた「住民投票」を開始した。27日まで実施される。投票結果は併合支持が多数となることが確実視されている。ウクライナ侵略開始から7か月となる24日を前に、プーチン露政権は強引な領土拡大を進める構えを強めるが、ウクライナ軍の反転攻勢を抑え込めるかどうかは不透明だ。

「住民投票」4州トップ、プーチン大統領にロシアへの併合正式申請…攻撃には「核使用の権利」

 ウクライナや米欧は「偽りの住民投票」だと非難。ロシアが住民投票の結果を踏まえ、ウクライナでの支配地域を一方的に併合することを認めない方針だ。投票開始を受けてロシアへの追加制裁の検討を本格化させるとみられる。ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミアを住民投票後に併合した経緯がある。

 23日に住民投票が始まったのは、親露派武装集団が14年から実効支配する東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の一部地域と、南部ヘルソン、ザポリージャ両州でロシア軍が占領する地域だ。

23日、ウクライナ東部ドネツク州の親露派武装集団が実効支配する地域で、投票をする女性(AP)
23日、ウクライナ東部ドネツク州の親露派武装集団が実効支配する地域で、投票をする女性(AP)

 投票は原則、23?26日は親露派関係者による戸別訪問で行われ、投票所での投票は27日のみとされる。ただ、一部では既に投票所でも投票が行われているという。戸別訪問での投票では不正が横行するとの見方が出ている。

 プーチン大統領側近、ビャチェスラフ・ウォロジン露下院議長は23日、SNSで「ロシアの一部になる意思表示をしよう。我々は支持する」と投票を呼びかけた。一方、ウクライナ大統領府顧問は23日、露軍兵士動員に向けた「プロパガンダのショーだ」と批判した。

 4州の親露派勢力は今月20日、投票の実施を突然、発表した。プーチン政権は、8月以降のウクライナ軍の反攻で東部ハルキウ州の占領地域の大部分を失うなど劣勢を強いられており、投票を通じて占領地域の併合を進めるなどして勢力拡大を実現し、巻き返しを図る狙いがあるとみられる。

 プーチン氏が21日に発令した部分的動員を巡っては、軍務経験がない男性らにも招集令状が届くなど混乱が広がっている。

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