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 【瀋陽=川瀬大介】中国の 習近平シージンピン 国家主席が20日からロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する。習氏の訪露はロシアのウクライナ侵略開始後、初めて。中露首脳が武器供与での協力を深めれば、米欧との対立はさらに激化する。

プーチン大統領(左)と習近平国家主席(2022年2月4日、北京で)=ロイター
プーチン大統領(左)と習近平国家主席(2022年2月4日、北京で)=ロイター

 露側の発表では、習氏は22日までの訪露でプーチン氏と複数の会談を予定している。ウクライナ情勢のほか、軍事技術分野の協力を協議するという。

 タス通信によると、ユーリー・ウシャコフ露大統領補佐官は17日、プーチン氏と習氏が20日に通訳だけを同席させた1対1の夕食会を予定しており、「最も重要で繊細な問題について協議する」と明らかにした。露側がこの会談を「特に重視している」と強調した。

 プーチン氏は習氏との会談で、侵略の長期化で武器不足が深刻になっている露軍への支援取り付けを期待しているとみられる。露軍は弾薬やミサイルが不足しているが、自国での増産に必要な部品の輸入が米欧主導の対露経済制裁で封じられている。

 米政治専門紙ポリティコは16日、中国政府に近い企業が昨年6月に「狩猟用」ライフル約1000丁と防護服をロシアに輸出し、別の中国企業も昨年後半に無人機の部品をトルコやアラブ首長国連邦(UAE)経由でロシアに送ったことを確認したと報じた。

 こうした中国による「抜け穴」を通じた軍事支援疑惑について、中国外務省の 汪文斌ワンウェンビン 副報道局長は17日の記者会見で、「中国は軍事製品の輸出に慎重で責任ある態度を取っている」と述べた。

 プーチン氏はウクライナ侵略直前の昨年2月に北京を訪問し、習氏と会談。共同声明で中露の「無制限の友好」を確認した。

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