ニュース本文


ボート男子 ベナン プリベル・ヒンカティ(32) 

 あえて険しい道を進んで良かった。

 23日、予選レースで出場5人中最下位に終わった。実力を発揮できず悔しさが残る。すぐに顔色は明るくなった。レース直後、携帯を見るとお祝いのメッセージが届いていた。数は100を超えていた。

 「長年夢だった五輪出場がかなった。誇りに思う」

 東京五輪で、2千メートルの直線をこぐボート男子のシングルスカルのベナン代表、プリベル・ヒンカティ(32)だ。敗者復活戦から勝ち上がり、30日に順位決定戦に出る。

 フランスに生まれたが、両親がベナン出身のため二重国籍を持つ。競技環境が整ったフランスで五輪を目指すか迷った末、西アフリカの小国であるベナンを選んだ。

 やりがい、が理由だ。

 本格的にボートに打ち込むと決めた2012年、サッカーが盛んなベナンで競技を知る人はごくわずか。統括団体すらなかった。五輪に出れば、歴史の扉を開くことになる。「昔から難しい方に挑むのが好きだった」。連盟の立ち上げから協力し、加盟選手は今では70人を超え「ボートの認知度ははるかに上がっている」と喜ぶ。

 普段はコンピューター関連の仕事をしている。とはいえ遠征費やコーチへの報酬を賄えるだけの稼ぎはない。そこでクラウドファンディングを利用した。19年には約6万ユーロ(約780万円)が集まったが、五輪に出るためにはもっと必要だ。「何とか年間予算を達成できた。支えてくれた皆さんに感謝しかない」

 学生だった08年北京大会か…

この記事は有料会員記事です。残り456文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

連載Why I Stand(全17回)

この連載の一覧を見る


記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る