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 米連邦最高裁判所が米国時間6月24日に1973年の画期的な「ロー対ウェード判決」を覆した結果、少なくとも16の州で人工妊娠中絶がほぼ即座に禁止または制限されることになった。過去に中絶が起訴の対象となっていたいくつかの州では、中絶希望者のオンライン活動を追跡した記録が犯罪の証拠として採用される可能性がある。また、さらに多くの州で、中絶希望者が法的な危険にさらされるかもしれない。

経口中絶薬についてスマートフォンで調べている女性
提供:Olivier Douliery/Getty Images

 サードパーティーのデータブローカーは、アプリやブラウザー、デバイスに張り巡らされた個人追跡技術の網から集めた機密性の高い位置情報を、監視されることなく法執行機関に販売している。5月には、民主党が中絶保護法の成立に向けて最後まで努力したものの、上院ですべての共和党議員と1名の民主党議員から反対票を投じられて失敗に終わった。現在、超党派の議員らによって提出されたデータプライバシー法案の審議が少しずつ進んでいるが、効果のある法律とは思えないとの見方が大勢だ。しかも、米連邦取引委員会(FTC)は以前から、法の限界によってプライバシー侵害企業の罰則逃れを許してきた。だが、ホワイトハウスは、中絶ついてまだ大統領令を出していない。

 そして、状況はさらに悪化している。

 オクラホマ州とテキサス州は、市民の手によって中絶の規制を進めようとしており、中絶手術を提供する医師や中絶希望者を支援する人の訴追に成功した情報提供者に、最大1万ドル(約135万円)を支給すると約束した。個人情報の入手は簡単で大した費用はかからず、その情報から身元を特定するのも難しくないため、知識のある情報提供者であれば、こうした情報を使って中絶希望者を特定し、利益を得られるようになるだろう。

 一部の州では中絶情報へのアクセスが数年前から制限されているため、このようなデータはますます増えており、しかもより正確で機密性が高く、個人を特定しやすいものとなっている。また、遠隔医療による中絶が増え追跡可能な中絶関連のデータの量も増えている。

 その結果、胎児を流産させたとして州から刑事または民事で訴えられた場合には、携帯電話のデータ、ソーシャルメディアのアカウント、ウェブ閲覧や位置情報の履歴、そしてインターネットサービスプロバイダーが保持しているインターネット活動の詳細な記録が、すべて証拠として採用されるかもしれない。

 最高裁がロー対ウェード判決を覆し、50年間にわたって女性に中絶の権利を認めてきた判例を破棄した今、こうしたリスクが高まっている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。



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