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農林水産省=東京都千代田区霞が関で、本橋和夫撮影

 全国の国有林で最長50年間、大規模に伐採・販売する権利を民間業者に与える国有林野管理経営法改正案が、16日の衆院農林水産委員会で自民、公明両党と国民民主党、日本維新の会の賛成多数で可決された。21日の衆院本会議で可決されて参院へ送られる見通し。全国の森林の3割を占める国有林の伐採を民間へ大きく開放し、低迷する林業の成長を促すとしているが、伐採後の植え直し(再造林)が進まなければ国土の荒廃につながりかねないなどの懸念も浮上している。

 現行の国有林伐採は農林水産省が数ヘクタール程度について1?数年単位で入札。再造林は別の入札で委託している。同案はこれに加え、数百ヘクタール規模の「樹木採取区」で公募した業者に「樹木採取権」を付与。大規模集約化による効率化を図り、対価として一定の権利設定料と樹木料を徴収する。

 政府は国会審議で、地元の森林組合など中小業者を想定しているとし、伐採期間は「10年が原則」と説明。ただし大手企業や外資が参入する可能性も残る。農相が業者に伐採後の再造林も行うよう「申し入れ」をする仕組みだが、同案は「10年」原則や再造林の義務は明記していない。

 政府は再造林を業者との契約にも盛り込んで担保したい考えだが、森林再生の実効性に疑問の声が上がった。立憲民主党の佐々木隆博氏は「国有林を活用したい側に偏った法案だ」と批判。長期・独占的な伐採にも疑問を呈した。一方、自民の小寺裕雄氏は「申し入れに応じた業者から選び、確実に再造林される」と政府案を後押しした。

 16日の同委では、業者との契約で再造林を「明確化」することなどを求める与党など5党提出の付帯決議も可決した。立憲は伐採期間を10年に短縮し、再造林に必要な措置を講じるなどの修正案を提出したが、否決された。【寺田剛、田中裕之】

国有林法改正案の骨子

・伐採可能な国有林を農相が「樹木採取区」に指定。政府は1カ所あたり数百ヘクタールを想定

・民間事業者に採取区での森林伐採を最長50年間委託

・事業者は国に樹木採取権の設定料と伐採した樹木料を支払う

・農相は事業者に伐採後の再造林(植え直し)実施を申し入れ



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