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虐待を訴えた栗原心愛さんの自筆アンケートの写し。欄外には「なぐられる10回(こぶし)」などの書き込みも。当時の担任が聞き取った際に書き込んだ=野田市役所で

 千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10歳)が親から虐待を受けて死亡した事件で、傷害ほう助罪に問われた母なぎさ被告(32)は16日、千葉地裁(小池健治裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は「女児を守るべき母親としての責任を放棄して虐待に同調した悪質な犯行」と懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求めて即日結審した。判決は6月26日に言い渡される。

 裁判では、母なぎさ被告(32)が、夫勇一郎被告(41)から女児への暴力を止めようとしたことがあるものの自らもドメスティックバイオレンス(DV)に遭い、家庭内で支配的な立場にあった勇一郎被告に逆らえなかった状況が浮かんだ。

 法廷に姿を見せたなぎさ被告は茶色のセーターに黒の長ズボン姿で黒縁めがねをかけ、終始無表情でうつむいた。裁判長から起訴内容の認否を問われると、数十秒沈黙。再び尋ねられると「間違いありません」と消え入るような声で答えた。

 「優しくていつも笑顔で明るい子だった」。被告人質問では女児をそう振り返ったものの、質問を聞き直したり、沈黙したりする場面がたびたびあった。

 なぎさ被告は2008年、勇一郎被告と結婚したが、11年に離婚した。16年6月ごろ再び交際するようになり、17年2月に再婚した。被告人質問で「女児を連れて家を出ようと思ったことはあるか」と問われると「ない」と答え、「逃げようとしても行き先がばれたり連れ戻されたりすると思ったから」と話した。「警察に通報するか、児童相談所や家族に相談していれば良かった」と後悔もにじませた。

 勇一郎被告が今年1月ごろに女児に虐待した際のことは「『これ以上やらないで。やめて。通報する』と言ったら、胸ぐらをつかまれて床に押し倒され、馬乗りになられた」などと打ち明けた。検察側も論告で「支配的立場にあった勇一郎被告に逆らえなかったことが事件の背景にあることは否定できない」と言及している。この日の公判の最後に裁判長から女児に伝えたいことを尋ねられると、なぎさ被告は1分以上黙り言葉が出なかった。

 DVと虐待の関係について詳しい「原宿カウンセリングセンター」の信田さよ子所長は当時のなぎさ被告の状況について、「勇一郎被告の支配下で、自分の命がかかっているという状況の中、強いものの一員になることで生き延びようとしたことや、女児の妹を守ろうとしたことが考えられる」と指摘している。【町野幸、宮本翔平、加藤昌平、秋丸生帆】



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