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大川小遺族が新たに作成した、大川小での出来事を伝えるリーフレット=石巻市で2019年9月11日、百武信幸撮影

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 東日本大震災で児童74人と教職員10人が犠牲になった旧石巻市立大川小で語り部をする児童の遺族たちが、足を運ぶ見学者に理解を深めてもらおうと、現地で配る冊子を大幅改訂した第2集と、内容を凝縮したリーフレットを作成した。児童遺族の佐藤敏郎さん(56)は「資料や語り部を通じ、震災のことを自分事として考える入り口にしてほしい」と願いを込める。

 震災から8年半となる11日も、雨の中、多くの人が被災校舎を訪れた。「大川伝承の会」によると、案内した団体は8月だけで70以上。案内を依頼せずに訪れる人も多く、2万?3万人は訪れているという。

 ただ、案内を受けずに帰る人の中には「なぜ何もないところに学校が」と震災前の風景を誤解したり、「災害だから仕方ない」と受け止めて帰ったり、一部には、たばこやゴミを捨てたり、笑顔で記念撮影したりする人もおり、居合わせた遺族が心を痛めていた。

 理解を深め、訪問を意味のあるものにしてもらおうと、この夏、冊子「小さな命の意味を考える 第2集 宮城県石巻市立大川小学校から未来へ」の配布を始めた。第1集は2015年3月、仙台で開かれた国連防災世界会議の関連フォーラムのため作成し、現地で語り部をする際、配布してきた。寄付が集まる度に1万冊ずつ増刷し、今春には約8万冊に上った。2集では新たに震災後の第三者検証委や裁判、被災校舎保存の経緯などの内容を充実させた。

語り部の佐藤敏郎さん(右)の案内を受けながら、「小さな命の意味を考える会」の冊子に目を通す見学者ら=石巻市釜谷の旧大川小校舎で2019年6月、百武信幸撮影

 8月に作成したA4判三つ折りのリーフレットは、冊子の簡易版ながら、かつての地区の風景や学校の様子が分かるよう、震災前の写真も多数載せた。いずれも現地であの日を想像し、身近な防災に考えを巡らせるように材料を提示する。

 冊子を発行するのは「小さな命の意味を考える会」、リーフレットは同会と「大川伝承の会」が発行。両会の代表を務める佐藤さんは「冊子なども一つの語り部。関心を持った人が地元に帰った時、周りに伝える材料としても活用してもらい、その人がまた足を運ぶきっかけにしてもらえたら」と話す。

 冊子は制作に協力するスマートサプライビジョンのホームページhttps://smart−supply.org/store/chiisanainochiでダウンロードできる。リーフレットは石巻市観光協会などでも配布している。【百武信幸】