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黒川弘務東京高検検事長=遠山和宏撮影

 黒川弘務・東京高検検事長の定年を延長した閣議決定は「法解釈を変更した結果」なのか。安倍晋三首相による13日の衆院本会議での答弁に、野党や法曹経験者らの反発が14日に相次いだ。過去の国会審議で示された政府見解が、時の内閣の解釈で変更されることに「法治国家が崩された異常事態」(共産党の田村智子政策委員長)などの声が出ている。何が問題なのか、政府の解釈の変遷を追った。【大場伸也、野原大輔】

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は14日の党会合で「勝手な解釈変更が許されるのか。安倍政権は法治に対する認識が、いつもながらあまりに乱暴すぎる」と批判した。国民民主の中堅も「官邸主導の恣意(しい)的人事や解釈変更は、権力を私物化する安倍政権の本質だ。許してはならない」と指摘した。

 焦点は検察官の定年を定めた検察庁法と、国家公務員の定年延長を定めた国家公務員法(国公法)の関係だ。1947年4月16日施行の検察庁法22条は、次のように定める。 

 ▽検察庁法22条 検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は、年齢が63年に達した時に退官する。

 これを受け、検察官は誕生日の前日に退官するのが慣例だ。ところが黒川氏は、2月7日に退官予定だったところ、1月31日の閣議決定で定年が半年延びた。検察庁法施行後、初めてのことだ。

 一方、一般職の国家公務員の定年を60歳とし、定年延長の手続きも定めた国公法改正案は81年に提出された。この際に検察官の定年も議論され、当時の斧誠之助・人事院事務総局任用局長はこう答弁した。

 「検察官は現在すでに定年が定められている。今回の定年制は適用されないことになっている」

 また斧氏は「今回は、別に法律で定められておる者を除き、ということになっている」とも述べていた。これは国公法の付則13条を指すとみられる。その条文はこうだ。

 ▽国家公務員法 付則13条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基づいて、この法律(国家公務員法)の特例を要する場合においては、別に法律または人事院規則をもって、これを規定することができる。

 つまり、検察官は特殊な一般職公務員なので、特例が必要なら検察庁法などで決めてよいとする内容だ。

 この答弁を今年2月10日の衆院予算委員会でただされた森雅子法相は「承知していない」と答えた。政府内で整理できていなかった模様だ。2日後の12日の同…

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