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 香港の旗に描かれた5弁の花はバウヒニア、中国名は紫荊花(しけいか)、俗称は香港蘭(らん)ともいう。紫荊花には仲たがいした3兄弟をいさめて一夜のうちに枯れ、それを見て反省した兄弟を再び団結させたという故事がある▲23年前の返還で制定されたこの行政区旗は紫荊花紅旗(こうき)という。地の赤は中国、5弁の花びらの白は香港で、紅白の対比は1国2制度を表す。だが愛国心を表すという赤い星が雄しべとして花弁中央に描かれているのが意味深長(いみしんちょう)である▲その白い花弁もとうとう赤い色に染められていくのだろうか。中国が約束した1国2制度を有名無実にしてしまうと国際的な批判を浴びる香港の国家安全維持法である。この法律が中国での異例のスピード審議により成立したという▲香港の自治や言論の自由を返還後50年にわたって保障したはずの1国2制度である。だが政府転覆や外国との結託などを犯罪とする同法では、中央政府が香港で直接法を執行できるようになる。反政府言論も大きな圧力にさらされる▲中国にすれば昨年の香港のデモ激化で、独立の動きや国内への影響を警戒したのか。だがこの間のコロナ禍や中国の対外行動で、米欧や周辺諸国の対中不信感が高まる中での強権姿勢である。国際的波紋は中国政府の想定を上回ろう▲国際金融センターとしての香港も、市場に通じた市民の自由なしには存続が難しい。その海外脱出もとりざたされる今日、白い輝きを失えば一夜で枯れかねぬ香港の紫荊花は誰をいさめることになるのか。