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改修された神社で14年ぶりに行われた式年大祭=福島県双葉町長塚の初発神社で2021年4月22日、柿沼秀行撮影 拡大
改修された神社で14年ぶりに行われた式年大祭=福島県双葉町長塚の初発神社で2021年4月22日、柿沼秀行撮影

 東京電力福島第1原発事故により全町民が避難している福島県双葉町の初発神社で22日、事故後初となる「式年大祭」が開かれた。晴天の下、氏子ら約15人が県内各地の避難先から集まり、東日本大震災の揺れで傾いた社殿を2019年に再建したことを神前に報告。22年春に予定される町民の帰還開始に向け、町の安寧(あんねい)を祈った。【渡部直樹】

 式年大祭は、神社が1791年の亥(い)年に創建されたことに由来し、亥年の春に開かれる。前回の亥年にあたる2019年は社殿の再建工事のため、また20年は新型コロナウイルスの感染拡大によりそれぞれ延期され、2年遅れで実現した。いわき市に避難している高倉洋尚宮司(59)が祝詞を上げ、同じく同市に避難する氏子総代長の栗田正(まさし)さん(86)が神社の再建を神前に報告。集まった氏子らは玉串を奉納し、静かに祈りをささげた。

震災で柱が傾いた初発神社の社殿。改修前はワイヤで支えられていた=福島県双葉町長塚で2018年12月24日、乾達撮影 拡大
震災で柱が傾いた初発神社の社殿。改修前はワイヤで支えられていた=福島県双葉町長塚で2018年12月24日、乾達撮影

 震災前は神楽の奉納や、約3キロ離れた海岸線まで神輿(みこし)を担いで行き、海水を奉納する神事なども行われたが、全町民の避難が続く中、今回はいずれも見送られた。それでも、避難先の本宮市から来た電気工事業、横山久勝さん(66)は「震災で傾いた神社を見た時には、まさか祭りができるとは思わなかった。本当にうれしい」と笑顔で話した。

 神社周辺の避難指示は22年春に解除される見込みだが、周辺は家屋の解体が進み、避難先に住宅を買った氏子も多い。地元の行政区長、木幡智清(のりきよ)さん(80)は「帰ってくると決めた人はまだ聞かない。(避難指示解除までの期間が)長すぎたのでは」と残念がった。

 高倉さんは避難先から隔日で通っては参拝者に話しかけ、少しでも人の居場所を作ろうとしている。祭りを終えると「やっとスタートラインに立てた。あとはみなさんが来るのを気を長くして待つしか無い」と話した。



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