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行方不明になった美咲さんを捜索する山梨県警の警察官ら=山梨県道志村で2021年9月21日午前11時20分、田中綾乃撮影 拡大
行方不明になった美咲さんを捜索する山梨県警の警察官ら=山梨県道志村で2021年9月21日午前11時20分、田中綾乃撮影

 山梨県道志村で見つかった人骨は2019年9月に同村のキャンプ場から行方が分からなくなっていた小倉美咲さん(当時7歳)=千葉県成田市=のものと確認された。山梨県警は事件と事故の両面で捜査を続ける方針だ。行方不明になってから今月で2年8カ月。これまで大々的な捜索では何も見つからなかったにもかかわらず、なぜ今になって人骨などの発見が相次いだのか。

大規模捜索も手がかりなし

 家族とキャンプ場に遊びに来ていた美咲さんは19年9月21日午後3時40分ごろ、西側にある沢に向かった友人を追い掛けてテントを離れた。約20分後に戻った友人らの中に美咲さんがおらず、家族が同5時ごろに山梨県警大月署に通報した。

 県警はその日の夜から捜索を始め、すぐに地元消防や陸上自衛隊なども加わった。捜索は体温を感知するセンサーを搭載したドローンが投入されるなど本格的なものだった。

 捜索範囲はキャンプ場周辺の東西約15キロで南北7?8キロ。今回、美咲さんのものとみられる運動靴や骨が見つかった地域も含んでいた。沢が流れ着く相模原市の道志ダムにも警察官らが潜って手がかりをさぐった。

 しかし、必死の捜索にもかかわらず、美咲さんの行方をうかがわせるものは何も見つからなかった。県警は10月6日に大規模な捜索を打ち切った。16日間で延べ1700人が参加したとされる。

 当時、道志村の消防団長として捜索に参加した池谷昌久さん(54)は「すぐ見つかると思っていたが、手がかりもなく終わってしまった」と残念がる。

複雑な地形、捜索難しく

 捜索が難航した理由は何なのか。

 山梨県警の山岳遭難救助アドバイザーの竹内敬一さんは「村の多くの場所では尾根や沢が入り組んでいる。地形の複雑さが捜索を難しくしたと考えられる」と強調する。

 現場付近を知る県警幹部も同じ見解を示し、「ロープを使うなどしないと立ち入れない急な崖もあった。足場がもろい岩場は崩れて滑落する危険もある」と話した。

 竹内さんがさらに難航の理由として挙げたのは、野生動物の存在だ。「一般論」と断りながら竹内さんは「野生動物が骨などを運んでしまうことはあるだろう」と指摘。捜索時にはなかったものが、時間がたてば同じ場所で見つかることもあり得るとの見方を示した。

 一方、地質学に詳しい山梨県富士山科学研究所の内山高専門員は、骨や運動靴が見つかった周辺は沢が多いことから、大雨などによって他の場所から流されてきた可能性を示唆する。「周辺の岩とぶつかれば砕けることもある。風や雨など気候の影響を考慮すれば、捜索範囲は広範囲にならざるを得ないだろう」

事件に巻き込まれた可能性は

 捜索が困難を極めた理由は複数あるものの、そもそも美咲さんが事件に巻き込まれたとすれば、状況は全く変わってくる。県警は今も事件の可能性を捨てていない。

 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「事故死や病死であれば、遺体がすぐに見つかるはずだ。誰かの手によって遺体が遺棄された事件の可能性が高い」と強調する。その上で、「誰かが子どもを狙っていたのか、偶然通りかかった人物が突発的に美咲さんに危害を加えたのかなど、あらゆる可能性を視野に事件であることを前提として捜査する必要がある」と話す。

 一方、「誰かが骨を持ってきた可能性もゼロではないが、一部だけを遺棄するのは考えにくい」と指摘するのは元埼玉県警捜査1課刑事の佐々木成三さんだ。仮に事故であれば全身の骨が見つかるはずだとして「現場周辺でさらに他の骨が発見されるかどうかが真相解明のためには重要になる」と話す。着衣や骨の損傷の有無や状況なども判断材料になるため、「できるだけ多くの骨や遺留品を見つけることが大切だ」としている。【遠藤龍、岩崎歩、山本悟、鈴木拓也】



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