東洋大姫路(兵庫)が夏の甲子園準優勝校の智弁学園(奈良)に完封勝ちだ。

身長169センチのエース森健人投手(2年)の踏ん張りが勝利の要因だ。序盤からカーブなど緩い変化球を駆使して打ち気をそらした。中盤は強気に攻める。5回2死一、三塁では内角攻めで三飛に抑えた。6回2死一、三塁でも二ゴロに仕留めて、窮地で耐えた。9回完封勝利の森は言う。

「多少、緊張はあった。気持ちは高ぶっているけどリラックスして低めに丁寧に投げようと思っていた。緩急差があったら打ちにくい。カーブは縦の変化。目線をずらす意味でも、相手の絞る球を外せた」

打線も力投する森を援護した。3回に千代凱登外野手(2年)の右越え適時二塁打で先制。1?0のまま迎えた8回は1死一、三塁で賀川新太外野手(2年)が中越え適時二塁打を放って貴重な追加点を奪った。

同校は春夏通算19度の甲子園出場を誇り、77年夏に優勝した名門だ。11年から母校を率いる藤田明彦監督(64)は22年3月での退任が決まっている。この日は通常、甲子園出場時しか着用しない、胸に金縁の「TOYO」のワッペンが入った“勝負服”で決戦に挑んだ。15日には選手が1人ずつ決意表明。千代が「着たいです」と言った。ナインの発案で心を高ぶらせた。

森は言う。「甲子園に出たらこれを着られると分かっていた。近畿大会で着られるし、監督も最後。このユニホームで負けられないです」。この日は再三の好守も光った。球際でのミスは1つもなかった。藤田監督も「森くんのおかげ。今日は出来が特別よかったわけじゃない。丁寧に、コースや高低を丹念に投げていたし、緩急もつけて(相手は)タイミングがズレていたんじゃないか。難しい打球でも粘り強く守ってくれた。結果的に守り勝ちじゃないかな」と振り返った。

指揮官はこれまで春夏通算5度、甲子園に出場し、この秋は大砲不在で打線に課題があるチームを近畿大会まで導いた。甲子園は11年夏を最後に遠ざかり、センバツは08年に出場したのが最後だ。夏全国2位の智弁学園を撃破し、14年ぶりのセンバツに当確ランプがともるまであと1勝。ナイン一丸で、勇退する藤田監督の花道を作る。