J1のスタジアムにも、観客が戻ってきた。前日10日のJ2に続き、新型コロナウイルスの影響による中断後、J1とJ3も観客を入れて初めて実施された。

ホームに柏を迎えた川崎Fは、前半にMF家長昭博(34)が4シーズンぶりの1試合2得点。後半にもFWレアンドロ・ダミアンが2試合連続得点をマーク。4724人の観客の前で3?1で3連勝を飾り、暫定首位に浮上した。

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選手たちが待ちわびていた「音」と「視線」がピッチに戻ってきた。声援禁止の観客席から好プレーに拍手が起こる中、前半40分、MF家長がファーに流れてきた右CKを頭でゴールにたたき込んだ。2分後にはゴール正面から右足で右隅に射抜いた。ゴールネットを揺らした音に、歓声ではなく大きな拍手が覆い重なった。客席にはマフラータオルを掲げて喜ぶサポーターの姿が。かつてのゴール後は当たり前だった「聴覚」と「視覚」への刺激を久々に体感した家長を中心に、笑顔の輪が広がった。

新型コロナの感染拡大から守るべく、Jリーグのガイドラインに沿いながら万全の対策を施した。上限5000枚のチケットは完売。全席指定で、ゴール裏の立ち見席にも床面に席番号を貼付。来場前に体温上昇を招く「飲酒」などを避けるよう注意喚起もし、応援はタオルマフラーを掲げるスタイルで一体感を生もうと提唱。安全の中で熱く、楽しめる観戦方法を考え抜いてサポーターを迎えた。

試合へのアプローチも抜かりなかった。柏は再開後2連敗だったが、鬼木監督は「2戦のことは忘れて切り替えてやっていく」と緊張感を保たせた。中2日ということでコンディションを冷静に見極め、先発を3人入れ替えた。開幕戦以来140日ぶりに帰ってきたサポーターは当時の2万1117人の4分の1にも満たない。前半16分にはDFジェジエウが負傷交代と誤算にも見舞われた。それでも新型コロナ禍の中で足を運んでくれた人々に3得点と勝利で高揚感を届けた。

再開後は3連勝。首位C大阪の試合がなかったため暫定ながら首位に立った。指揮官が「お客さんの力を感じる。喜び合えるゴールで恩返ししていけたら」と言えば、通算200試合出場のDF谷口主将も「サポーターの前で試合ができるのは幸せと感じながらできた」と感謝した。4?3?3の新システムや制限人数のスタジアムでも一体となって戦う応援スタイルだけでなく、首位の座も確かなものにする。【浜本卓也】

川崎F・MF家長 (2点目は)とりあえず打ってみようかなという感じです。たまたまいいところに飛んで良かった。久しぶりにお客さんに入ってもらったので、ありがたかった。また1週間後から連戦が始まるので、もう1段階チームが強くなるように練習して連戦に臨みたい。

▼記録メモ 家長のJ1リーグ戦での得点は18年11月10日のC大阪戦以来2シーズンぶり。1試合2得点は大宮時代の16年9月17日の川崎F戦以来4シーズンぶり5度目で、G大阪時代の12年に2度、大宮で14、16年に各1度。17年の川崎F移籍後は初めて。