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1989年11月9日夜、共産主義国家だった東ドイツからベルリンの壁を越えて西ドイツ側へなだれ込んだ群衆の中に、サウナ帰りのタオルを抱えた女性がいた。そのまま西側の見ず知らずの家族に招かれ、ビールを振る舞われた35歳の女性こそ、東ベルリンで物理学者として働いていたメルケル独首相だった。

「扉は突然開かれた」。メルケル氏にとって30年前に手に入れた自由と民主主義は何物にも代えがたい財産だ。それが今、…



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