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【シリコンバレー=奥平和行】米グーグルは27日、米カリフォルニア州マウンテンビュー市の本社地区に開設した新たな社屋を報道陣に公開した。同社が主要オフィスを自ら設計するのは初めてで、社員が交流しやすい環境づくりを意識した。新型コロナウイルスの流行に伴い広がった新たな働き方にも対応した。

5月中旬に開いた「ベイビューキャンパス」を公開した。サンフランシスコ湾に面した約17万平方メートルの敷地に、サーカスのテントのようなデザインの建物を3つ配置した。延べ床面積は10万平方メートル強で、約4500人を収容できる。数週間以内に広告部門の社員が既存拠点から移る予定だ。

「交流のしやすさと集中できる環境づくりという異なるテーマの両立を目指した」。同社の不動産研究・開発担当ディレクター、ミシェル・カウフマン氏は説明する。新社屋は2階建てで、1階部分に会議室やカフェなどの共有スペースを設け、「中庭」と呼ぶソファなどを置いた空間も一定の間隔で設けた。

グーグルは事業の拡大に合わせて増員し、グループ全体の社員は16万人を上回っている。本社地区でも既存のビルを購入・賃貸してオフィスを広げた結果、同じ部門の社員でも異なる建物で働くことが増えた。カウフマン氏は「つながりを感じるのが難しくなり、偶然の出会いから新たなアイデアが生まれにくくなった」と課題を指摘する。

2階に設けた一人ひとりの執務スペースも壁を設けずに大きなひとつの空間とすることで、人とのつながりを感じられるようにしたという。一方、家具などを間仕切りとして使うほか、天井も音をはね返しにくい構造として、集中して作業することも可能にしたとしている。

新社屋は長年にわたって使うことを意識し、柔軟性を高めることも重視した。2階の執務スペースは可動式の机を採用して自由に配置を変更できるようにしたほか、壁で囲った打ち合わせスペースなども簡単に動かせる。「事業のスピードに合わせて進化させられるオフィスを目指した」(カウフマン氏)という。

当初から柔軟性が高いデザインを採用したことで、建設中に新型コロナが流行して新たな働き方が広がったことにも対応できたという。執務スペースにはビデオ会議などに使う小部屋を増設した。会議室でも大型モニターを増やしたほか、デジタルホワイトボードを導入し、ビデオ会議の際の利便性を高める。

グーグルは新社屋の建設費用について明らかにしていないが、カウフマン氏は「通常の建物のコストを上回らないようにした」と明かす。環境負荷を低減するために太陽光パネルや地熱を活用した空調システムなどを導入して費用がかさむ一方、内装を簡素にすることなどによりコストを抑えたもようだ。

同社は今後、本社地区などで大規模な再開発を予定しており、新社屋の建設で得た知見を生かすという。また、環境負荷を減らすデザインなどを他社に広げることを狙い、設計に関する情報をウェブサイトで公開した。ソフトウエアの分野で開発成果を「オープンソース」として公開してきたグーグルならではの取り組みといえそうだ。



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