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【ロンドン=篠崎健太】23日のロンドン金融市場で英国債の利回りが急騰した。2年債は前日より一時0.4%あまり上昇(債券価格は下落)して4%を上回り、2008年10月以来約14年ぶりの高水準になった。トラス政権が大規模な減税策と国債の増発計画を打ち出し、財政や債券需給の悪化懸念が強まった。英通貨ポンドは対ドルで37年ぶりの安値をつけ、英国株も下げて「トリプル安」になった。

長期金利の指標である10年債利回りも0.3%強上げ、11年4月以来の高水準をつける場面があった。国債への売りはニューヨーク市場にも波及し、米10年債利回りは一時3.8%台に乗せた。

クワーテング英財務相は同日の議会下院で、所得税率や住宅購入時にかかる印紙税の引き下げ、法人増税の凍結などを柱とする経済対策を発表した。トラス首相が9月上旬に表明済みの光熱費の上昇抑制策をめぐり、家庭と企業向けを合わせて半年間で600億ポンド(約9兆4000億円)必要なことも明らかにした。当面は借り入れに頼らざるを得ず、2022会計年度の国債発行計画はこれまでより624億ポンド引き上げられた。

英キャピタル・エコノミクスは23日付のリポートで「財務相は成長に全てを賭けた」との見方を示し、経済成長率を想定通りに引き上げられなければ「金利上昇とより重い政府債務負担という遺産を残すリスクがある」と指摘した。「市場は減税が需要を高めてインフレ率を押し上げ、金利上昇圧力につながることを懸念するだろう」(英プレミア・ミトン・インベスターズのエマ・モグフォード氏)との声もある。

外国為替市場ではポンドが売られ、一時1ポンド=1.08ドル台前半と前日の1.12ドル台から大きく下げた。下落率は4%に迫り、対ドルで1985年以来の安値水準を更新した。ポンドはユーロや円、スイスフランに対しても売られて全面安になった。

株式市場では英FTSE100種総合株価指数が前日比で一時2%強下げ、取引時間中としては3月以来の水準に沈んだ。金利上昇による収益悪化の懸念から、不動産関連株や不動産投資信託(REIT)の値下がりが目立った。

英イングランド銀行(中央銀行)は22日に政策金利を連続で0.5%引き上げた。消費者物価指数(CPI)の上昇率が今後数カ月は10%程度で高止まりするとみており、インフレを抑えるため金融引き締めを当面続ける見通しだ。10月からは量的緩和策として過去に買い入れた国債の市場売却にも乗り出す。英債券市場の動揺は、インフレ下での経済下支えという世界が直面する難路を浮き彫りにした。



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