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モンハンワールドにおいても、発売前に実施した体験版の反応や『バイオハザード7』で得たデータが製品開発や需要予測の役に立った。モンハンワールドのヒットで今まで以上に多くのデータが集まってきているので、今後のタイトルに生かしていきたい。

eスポーツにどう取り組む?

――近年、海外を中心にゲーム対戦を「eスポーツ」という競技として見直す動きが活発化していますが、日本ではあまり普及が進んできませんでした。

日本のゲーム業界全体がeスポーツに対してあまり着目してなかったことが大きな要因だ。今からeスポーツを1つの産業として普及させるためには、個別の企業が散発的に取り組むのではなく、業界全体が足並みをそろえる必要がある。

1月下旬に東京都内で開催されたeスポーツのイベント「EVO Japan」には多くの観戦者が集まった(撮影:梅谷秀司)

そのために設立したのが、今回の日本eスポーツ連合だ。国内の統一団体ができたことで、日本のゲーム団体であるCESA(コンピュータエンターテインメント協会)やJOGA(日本オンラインゲーム協会)、そして複数存在していたeスポーツ緒団体が一体となって推進活動を行えるようになった。国内の各事業者を束ねたeスポーツ団体というのは、世界中を見渡しても今回が初めてのケースだ。

現在、eスポーツをオリンピックのようなリアルスポーツ大会の種目へと組み込む動きが出てきているが、「どのゲームを競技種目にするか」「参加国はどうするか」といったルールの整備はこれから。世界で唯一の統一団体として、世界のeスポーツ普及にも役立てるようになりたい。

――日本eスポーツ連合によるプロライセンス制度によって、これまで景品表示法の問題があった「ゲーム会社が賞金提供する高額賞金大会」を開催することができるようになったと聞きます。

辻本春弘(つじもと・はるひろ)/1964年にカプコンの創業者である辻本憲三氏の長男として生まれ、1987年にカプコン入社。アミューズメント施設運営事業や家庭用ゲームソフト事業などを経て2007年より現職。好きなゲームは「バイオハザード」(撮影:田所千代美)

プロライセンス制度は、日本eスポーツ連合が消費者庁と協議を重ねた上で作り上げた枠組みで、このルール内においては、国内においても問題なく賞金制大会を開くことができる。

今はまだ第1ステップといったところだ。実際に制度を運用していくとさまざまなケースが出てくるだろう。消費者庁の考えに反することのないよう対応していく必要がある。

――カプコンとしては、どのようにeスポーツに取り組んでいきますか?

われわれもこれを機に、国内eスポーツに本格参入する。今後1年かけて格闘ゲーム『ストリートファイター?』を使った大会を開催していく。今後のゲーム開発においてもeスポーツ化は意識している。ゲーム性によって向き不向きがあるので、すべてのタイトルでeスポーツ化するわけではないが、「バイオハザード」や「モンスターハンター」といったグローバルで売れているものに関しては可能な範囲で対応できるようにしたい。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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