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お金にあくせくしたりしない、あこがれのカントリーライフを送るつもりで移住をしたけれど…(写真:Hakase_/iStock)
田舎暮らしを希望している都会の人の大きな誤解が、田舎は都会よりもお金がかからない、生活費が安くあがる、という思い込み。実は、田舎暮らしは、物価も、保険料も、税金も都会より高い。しかも、場所によっては、交際費が収入の3分の2もかかることもある。
前回「恐怖の実話!悪夢と化した『夢の田舎暮らし』」で田舎暮らしの人間関係を語ってくれた、移住歴20年のベテラン・イジュラーに、今回は、田舎暮らしのお金の現実を語ってもらった。

風のなかに?土のにおいが?もう一度?日本を見つける?私を見つける――

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女優の松たか子の詩的なナレーションで始まる人気番組「新日本風土記」。その叙情的な言葉に誘われるかのように、番組の熱心なファンでもあった夫婦が長野県東部の、とある集落に移住したのは32歳のときだった。

人口わずか1000人弱の小さな谷あいの集落に移り住んだ直後、道ですれ違った老婆は開口一番、夫婦のあいさつを手で遮ったかと思うと、宣告せんばかりにこう告げた。

「ここは言葉は荒れぇけど、その場限りだから気にすんな」

思えば、それが地獄の釜が開いた瞬間だったのかもしれない。その地で体験したのは、「言葉が荒れぇ」などでは済まされない地獄絵図さながらの体験だった。「新日本風土記」が映す地方の、僻地の、田舎のくったくのない笑顔。そんなものはどこにもなかった……。

「修学旅行の金は俺たちの税金だ」

現在、40歳を越えた高藤泰之(仮名)さん夫婦は、高校生になった長女とともに、長野県佐久市内で暮す。佐久は長野新幹線で東京に出るにも便利で、地元電気会社の営業マンとして働く高藤さんにとっては首都圏へのアクセスも悪くなかった。

就農を目指し、32歳のときに関西から移住したのは、佐久からもさらに車で小一時間ほど走る山間部の集落だった。小学生に上がったばかりの長女とともに移り住んだ高藤さんは就農支援を受けながら、それなりに地域にも溶け込み、子どももすっかり小学校になじみ……と、傍目には移住成功組と映っていた。


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