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ニューヨーク市ソーホーの石畳(写真:deberarr/iStock)

アメリカ・ニューヨークは、ジャーナリストの俺にとって取材で訪れる街だ。特にここ数年は何度となく滞在している。なぜかといえば、「都市は生き物である」との認識があるからだ。つねに変化が生まれて、訪れるたびに違った姿を見せてくれる。

最近では、世界中の街を取材することが増えたせいか、これまでに見えなかったことも見えるようになってきた。いろんな街と比較することで、この街が独自の発展をしている場所だと感覚的につかむことができた。アジアやアフリカのスラム街、東ヨーロッパの路地、香港のビル群のすき間……。特に似たにおいを感じたのは新宿、それも歌舞伎町だった。このにおいを感じ取ったとき、はじめて街を「立体的」に見ることができたと思う。

街をリポートするときに俺は「立体的に見る」ということが多い。これは、ガイドブックやテレビ番組がクローズアップするいい部分や、インスタグラムやフェイスブックに投稿されるきらびやかな部分と対をなす存在を織り込んで見るということだ。

カオスを内包した都市・ニューヨーク

ニューヨークは人口およそ2000万の巨大都市で、多くの人種や職業の人が集まり、想像できる種類の犯罪や社会問題は必ずある。拙著『GONZALES IN NEW YORK』でも詳しく取り上げているが、売春はあるし、ドラッグも頻繁に売買されている。マフィアもいるし、ギャングもいる。超セレブの家の近所に餓死寸前のホームレスがいたりする。おびただしい量のカオスを内包した都市なのだ。

たとえば、マンハッタンには駐車場がほとんどない。あるにはあるが、個人の敷地か高級レジデンスの地下にあるくらいである。日本にあるようなコインパーキングは皆無で、路上のパーキングメーターぐらいだろう。そこに駐車できない人たちはどうしているかといえば、路上駐車である。

アメリカ全般に言えることだが、駐車場がなくても車が買えるのだ。車庫証明とかは必要ないらしい(州によって違ったりするので断言はしないが)。そのため駐車場を持たないカーオーナーは一般的。路駐するのも必然というわけだ。


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